【第26回】ファッションブランドのためのバイヤーが気にするバッティングとは?|トピックスファロー

  • フォークラスのライター募集
2015年10月5日
【第26回】ファッションブランドのためのバイヤーが気にするバッティングとは?

取引ができるかどうかの重要な要素に、バッティングというルールがあります。 バイヤーに関しても、取引前にブランド側にバッティングの有無を確認するなど、事前に重要な確認内容となっています。

ファッションライター
yu-kiのfacebookアイコン yu-kiのfacebookアイコン
  

お店の立地が重要?バイヤーが気にするバッティング

ファッションブランドにおいて、取引依頼されたセレクトショップの全てと取引ができるとは限りません。

取引ができるかどうかの重要な要素に、バッティングというルールがあります。

これは、明確なルールとして存在している訳ではなく、セレクトショップやファッションブランドのビジネスの中で暗黙のルールのように存在します。

バイヤーに関しても、取引前にブランド側にバッティングの有無を確認するなど、事前に重要な確認内容となっています。

では、そのバッティングとはどういったようなものなのか。
また、ファッションブランドを始める際には、どのように対応すべきなのでしょうか。
shop assistant

そもそもバッティングとは?

バイヤーとの取引が実現するかどうかの重要な条件となることがバッティングです。

このバッティングは、近くにあるセレクトショップ同士が、同じブランドを取り扱うことを指します。

もし、セレクトショップを運営しており、すぐ隣のお店が同じ全く同じブランドの取り扱いを始めると、セレクトショップとしての差別化が難しくなります。

それを防ぐために、バッティングを起こさないルールが、ファッション業界には存在します。

仮に、あるセレクトショップから取引依頼の連絡をもらったとしても、そのセレクトショップの近くにあるショップで、すでにブランドを扱って頂いていれば、その依頼はお断りする必要があります。

セレクトショップは取り扱いブランドやアイテムが、ショップとしての特徴です。

セレクトショップの差別化のために、ショップの場所と取り扱いブランドはとても重要な内容となります。

そのため、バッティングに関してはとても敏感な条件のひとつとなります。

細かいバッティングの条件やルールとは?

それでは、バッティングのルールとは具体的にどのようなものなのでしょうか。

それぞれのブランドによって明確に決まっていることもあれば、そこまで明確に決まっていないところもあります。

先ず、一番重要な条件が立地です。

すぐ隣や向かい側のショップであれば、明らかにバッティングとして分かるのですが、同じ都市や近いところにあるセレクトショップ同士であれば、状況は様々です。

たくさんのセレクトショップがある東京では、徒歩圏内のセレクトショップ同士であっても、バッティングとして扱われることは少なく、隣の駅や通りが違えばバッティングとはならないことが多いです。

たくさんのショップがあることや、それぞれのお客さんの層が違うことが理由に挙げられます。

それとは対照的に、名古屋などのセレクトショップであれば、栄などの同じ都市のセレクトショップでもバッティングとして扱われてしまう場合もあります。

これは、昔から、セレクトショップ同士の競争心が激しいことなど、地域的な特徴も考えられます。

さらに、ファッションブランド側が注意しなければならないことが、大手セレクトショップの事業部でのバッティングです。

複数のセレクトショップを扱ってる企業であれば、それぞれ担当バイヤーがいますが、バイヤー同士は事業部が違えば連絡の共有はほとんど行われていません。

そのため、Aというセレクトショップで取引をすでにしていれば、同じ会社のBというセレクトショップから取引依頼が来た場合もバッティングとなります。

これを知らずに取引を進めてしまうと、AとBのどちらのセレクトショップからもバッティングによる苦情が来る場合があります。

大手セレクトショップとの取引の場合は、事前にバイヤーへ違う事業部との取引を行っていることを伝えるなど、こちら側の対応が必要になります。

難しいバッティングの対処方法

では、実際にバッティングとなりそうなセレクトショップから取引依頼が来た場合、そのように対応するべきでしょうか。

大手のセレクトショップの場合は、取引状況などをお伝えすれば、セレクトショップ側で、バッティングをしていても問題がないか、取引を中止するかを決めてもらうことができます。

こちら側はバッティングの状況を伝えるだけで問題ありません。

ただ、地方などの個人オーナーのセレクトショップであれば、注意が必要です。

地域の特徴やショップ同士の距離感から判断する必要がありますが、重要なことは、すでに取引を行っている近くのセレクトショップへ報告することが大切です。

事前に伝えることで、近くのショップ同士でもバッティングとしてのトラブルを防ぐことができます。

また、どうしてもショップ同士が近い場合や、ショップ同士がバッティングを気にするようであれば、どちらのショップとの取引をするかは、ブランド側が決めることとなります。

より、たくさんの発注を頂けるショップとの取引を行うことや、より長く取り扱いを続けてくれるショップとの取引を行うようにしましょう。

また、こちらからブランド取引の営業をかける際も、バッティングの心配のない場所にあるセレクトショップを選ぶなど、注意しながら連絡を取る必要があります。

バッティングに気をつけながら少しずつ

バッティングは難しい条件ですが、ブランドの取引が増えていくと、段々と地域の特徴や、取引先の広げ方が分かるようになります。
バッティングを避けながら、少しずつ取引先を増やしていきましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
アイコン
yu-kiのfacebookアイコン yu-kiのfacebookアイコン
英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。