【第37回】海外の小さいファッションブランドはエージェントが主流|トピックスファロー

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2015年10月14日
【第37回】海外の小さいファッションブランドはエージェントが主流

セールスなどを代わりに行ってくれるファッションブランドのエージェント会社ですが、特に海外の規模の小さなブランドは、日本のエージェント会社と契約することが一般的です。

ファッションライター
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海外ブランドが利用するエージェント

セールスなどを代わりに行ってくれるファッションブランドのエージェント会社ですが、特に海外の規模の小さなブランドは、日本のエージェント会社と契約することが一般的です。

日本で本格的に進出したいブランドの場合、セールスも全て行ってくれるだけでなく、ブランドイメージを守ることや細かな対応も行ってくれるサービスに頼っています。

その理由や契約することで得られるメリットなどをチェックしてみましょう。
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ブランドイメージやマーケットが安定する

ファッションブランドのエージェント会社は、契約した海外ブランドの日本でのセールスやPRなど全ての業務を引き受けます。

日本でバイヤーにセールスする場合、同じ地域で2つのショップから取引希望が来た場合のバッティングを円満に解決することや、海外では決まっていない定価を設定してプライスを安定させることなど、日本全体のセールスをまとめる働きをしています。

PRに関しても、ブランドのイメージに合わないショップと取引をお断りすることや、スタイリストや雑誌へサンプル貸し出しを行うことで、よりブランドが認知されるようにする仕事があります。
雑誌に掲載された場合、原稿内容のチェックなどもエージェントが行います。
細かなブランドの対する表現方法なども指摘し、伝えるイメージを徹底して管理しています。

ブランドイメージを守り、より認知されるようにすることもエージェントの仕事です。

海外に拠点を置いていれば管理できないブランドのイメージやマーケットを守ることも海外ブランドが日本のエージェント会社と契約する理由でもあります。

できるだけ手間をかけずにセールスができる

ファッションブランドにとっての一番のメリットは、セールスに関して全てを任せられることです。
海外のブランドが日本に売り込む場合、パリやロンドンなどの展示会に買い付けでやってくるバイヤーだけでは不十分です。
本格的に日本へ売り込むには、日本を拠点とした展示会や営業を行う必要があります。
もし、ブランドが自ら日本へセールスを行うとなると、日本への出張費や展示会の準備から日本語を話せる通訳まで、手間と時間かなり掛かってしまい現実的ではありません。

他の方法として、日本に会社を設立して本格的に広める規模の大きなセールス方法もありますが、小さいファッションブランドには費用も人材確保も難しくなります。

このような問題も、エージェント会社との契約をすることで、セールスにかかる全ての手間を任せることができ、有効な方法と言えます。

ブランド側が行うことは展示会に必要なサンプルや資料を送ることです。

後は他のブランド同様に、セールスに慣れているエージェント会社のスタッフ達が準備から接客までを行ってくれます。

ブランド側は、次回シーズンのサンプル作成と、展示会後の受注分の生産により集中することができます。

窓口が一括され、問い合わせもスムーズ

海外のファッションブランドにとって、エージェント会社と契約する理由に、日本のバイヤーやショップ、お客さんからの連絡も全てエージェント会社に任せることができるメリットにあります。

展示会は受注を受けたら終わりではなく、納品前の出荷連絡や納品後に起こるキズ物への対応など、バイヤーショップとの連絡を密に取る必要があります。
また、話題のブランドなどであれば、お客さんからの問い合わせも多く、取り扱いのある店舗や、販売している商品の詳細に対するお問い合わせ対応をする必要があります。

さらに、店頭で評判が良いアイテムであれば、在庫の有無や追加発注が可能かどうかの連絡も来ることがあります。

このように、展示会が終わり、次回の展示会を行うまでの間でも、たくさんの問い合わせへの素早い対応が欠かせません。

エージェント会社であれば、この窓口も一括して引き受けてくれるので、ブランド側も、問い合わせをする側も混乱なくスムーズに連絡を取り合うことができます。

エージェント会社と契約していなければ、日本からも英語のメールでブランド側へ連絡することになり、どうしても素早く満足いく対応を取ることができません。

エージェント会社は、日本国内の窓口としても大きな役割を果たしています。

小さいブランドでも簡単に海外進出できる

海外の小さなブランドでも、日本にあるファッションブランドエージェントと契約することは難しくありません。

これは、日本のファッション市場が大きく、海外ブランドのアイテムに対しても需要が高いことも影響していますが、常に新しいブランドを求めているバイヤーに対して提案できることが大きいです。

大手のセレクトショップでも個人ショップでも、新しく話題性のあるブランドを常に探しています。
そのため、小さいブランドであっても商品のデザインや質が良ければ受注を取ることができます。

さらに、エージェントと契約をしてると、エージェント側が生産からキズ物のケアまで行ってくれるので、バイヤーからの信頼も得られやすくなります。

信頼を得られれば、受注数も多くなり継続して取引をすることができます。

規模が小さい海外ブランドであれば、日本のエージェント会社と契約することが、一番の日本進出への近道だと考えられています。

独占契約が主流

基本的にエージェント会社との契約は1つの国に1つの会社のみです。
2つ以上の会社と契約すると窓口は二つとなり混乱してしまいます。
このように、エージェント会社とは国ごとに独占契約することが一般的です。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
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英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。