スケジュール管理が最も重要
受注が取れたら、量産として生産する必要があります。工場に依頼して生産するなら、全てはしっかりとした段取りが重要です。
そこで、生産で気をつけたい基本的なことをまとめてみましょう。
大まかな年間スケジュールを立てる
生産を管理するには、1年間の大まかなスケジュールを把握することが大切です。8月に行った展示会分のアイテムは2月〜3月にはセレクトショップへ納品している時期になります。またその間にも、次回の展示会用の準備としてデザインを考えることやサンプルの準備などで忙しくなります。
さらに、2月は出来上がった商品を納品しながら、新しいシーズンの展示会を行うことになります。
ここで受注と取れたアイテムは、生産を始め、8月〜9月に納品します。
このように春夏と秋冬のシーズンで展示会を行っているブランドであれば、生産と次回の展示会準備が重なり、同時進行となることを頭に入れておきましょう。
すでに受注を取ってしまっている分、生産が遅れることは避けなければなりません。一方でサンプルの仕上がりが遅れてしまうと、展示会で受注が取れなくなるのでどちらも予定通りに進める必要があります。
生産工場の忙しい時期や依頼しやすい時期を知ろう
同じく、量産の際に生産を依頼する工場の忙しい時期なども把握する必要があります。複数のブランドから縫製などの依頼を受けている工場は、依頼のタイミングが重なると、先着順ではなく、仕事の大きさなどで選ぶ場合もあります。
これは、より枚数が多く、たくさん生産する仕事の方が、効率がいいからです。
そのため、小さい規模のブランドであれば、仕上がる時期が大幅に遅れることがあります。
特にお盆休みなどがある8月や1月2月は忙しい時期と言われています。
そのため、依頼は余裕持って早めに行うことが鉄則です。
他のブランドが依頼する前に工場に随時、どれくらいの依頼予定になるかなどを伝えるようにし、生産体制を確保しておくことがポイントです。
また、どうしても生産を引き受けてもらえないほど他のブランドの生産で手一杯の場合は、対応が必要です。
他の縫製工場を紹介してもらうなど、お願いしてみましょう。
今でも、ホームページなどは持たずに小規模で行っている縫製工場がたくさんあるので、口コミで見つけることが一番効率の良い探し方です。
全ては段取り。準備する付属品は完璧に
工場に生産を依頼する際には、事前に準備するものがたくさんあります。生地はもちろん、ボタンやファスナーなどを手配しなければなりません。
また、製品に付ける洗濯ネームも縫製の際に一緒に縫うこととなるので、早い段階で準備が必要です。
これらの手配が遅れると、いくら早くから生産を進めてもらっていても作業が止まることになるので注意が必要です。
特にオリジナル生地を使ったアイテムであれば、必要な分の生産が必要なので、ここで遅れてしまうと納期のズレを修正することが難しくなります。
また、ビンテージの生地やもう生産されない生地などであれば、売り切れてしまう前に確保しておくか、受注数が決まるまでキープしてもらえるような対策をしておきましょう。
出来上がり時期をコントロールすることこそ生産管理
これも重要!次回シーズンのサンプルも同時期に必要
納期に間に合わせるために生産を行っている間にも、次の展示会に向けたサンプルの準備も重要です。サンプルの縫製などはサンプル専門に製作を請け負う工場もあるなど、依頼する工場が多いことも特徴です。
ただ、生産をするときに、縫製を行う工場を変えると、仕上がりに微妙な違いが 出てくることがあるので注意が必要です。
理想的な方法は、量産を依頼する予定の工場にサンプルも作ってもらうことです。
ですが、サンプルを作りたいタイミングは、すでに受注分の量産で手一杯な状況が多く、断られることもあります。
より、サンプルと量産分のクオリティや仕上がりに相違がないようにしたい場合は、ある程度工場の規模が大きく、サンプルの生産も同時に引き受けてくれる工場を探すこともポイントです。
こまめなチェックこそトラブル回避の効果的方法
量産を行う場合は、どれだけ準備を万全にしていても問題は起きます。裁断の失敗で用意していた生地が足りなくなることや、付属品の不足なども起こります。
また、仕上がりがサンプルと違うものが出来上がってくることも少なくありません。
一番気をつけなければならないことは、納期を大幅に遅れることです。
そのため、進行状況や問題がないかなど、小まめにチェックする必要があります。
縫製工場によっては、お互いの連絡ミスから生産の問題を解決しないまま作業が止まったり、そのまま進んでしまっていたりします。
未然にトラブルを防ぐためには、こちらからしっかりと連絡を取ることが大切です。
納期の遅れが生じた時に起こる影響とは?
一般的には展示会で約束した納期の半月以上遅れると、イメージが悪くなります。ショップによってはキャンセル扱いとなり、商品を受け付けてくれないこともあります。
また、納期が遅れることで販売する期間が短くなり、在庫として残ってしまうと、売れないブランドであるイメージが付いてしまう恐れもあります。
次回のオーダーが大幅に減ってしまうなど、セールスに影響が出るので、納期を守ることを念頭に、生産をするように心がけましょう。
工場とのコミュニケーションが大切
重要なのは、工場とのコミュニケーション能力です。いかに協力してもらえ、問題があった時に連絡を取り合えるかが、納期を予定通りに守る重要な要素となります。
そのため、普段からの信頼関係を築く努力をするように心がけましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方