展示会を行う準備をしよう
バイヤーに自身のファッションブランドを知ってもらうには、展示会を行うことが最適な方法です。合同展示会に参加することや、レンタルスペースを借りて行うこと、事務所内にて展示するなど様々な方法があります。
サンプルさえあれば、展示会を行うことができますが、サンプルの他にも準備するべき物があります。
また、バイヤーが発注の際に気になるポイントは、しっかりと応えられる準備をしておく必要があります。
これから初めて展示会を行う際に、知っておくべき必要な物などをチェックしておきましょう。
招待状を送ろう
ファッション業界の展示会では、展示会の場所や日時が記載された招待状をバイヤー宛に送ることが一般的です。招待状と一言で言っても、いろいろなスタイルがあります。
ブランドのイメージやテーマに沿ったデザインでまとめたハガキや、ポスターのような大きな案内の用紙が入った封書など、ファッションブランドらしいオシャレな見た目の招待状が多いです。
また、最近はメールで招待状を送るブランドも増えています。
封書などであれば、郵送代がコストとしてかかるので、メールの方が安上がりに展示会のお知らせを送ることができます。
メールであれば、ホームページのリンクや地図の表紙などパソコンやスマートフォン上でも確認できるのでバイヤー側からしても便利です。
招待状にかけるコストに余裕があれば、個性的な招待状を送ることも印象付けるためには効果的です。
ノベルティのようなアイテムを同封することや、招待状自体が立体的なプリントになっているなど、他の展示会の招待状に埋もれないような工夫をすることも対策の一つです。
ただ、大切なことは、バイヤーに展示会を行うこと、日時と場所がより確実に伝わることです。
バイヤーにしっかりと見てもらえるように、メールでも郵送でも分かりやすい記載を心がけましょう。
意外とFAXを使った招待状の方が、結果的にバイヤーに見てもらえる頻度が上がることもあります。
自分なりに、展示会開催を知ってもらう方法を考えてみましょう。
カラー展開や値段などの決め方は?
サンプルが出来上がったら、それを元にいろいろと詳細を決めていく必要があります。一番大切なことは値段です。サンプルを作った際にコストや、実際に生産をする時にかかる単価を調べた上で、価格を決めていきます。
安い値段に設定し過ぎると、受注が入りやすくなりますが、たくさん売らなければ利益を出せなくなり、出荷作業などの雑務も増えることになります。
逆に高い値段にし過ぎると、少ない受注でより利益が出ますが、セールスをすることが難しくなります。
適度な価格帯を考えて、値段設定をするようにしましょう。
さらに、カラー展開も重要な要素です。
数色のカラー展開があれば、セレクトショップでもディスプレイしやすく、よりブランドを提案しやすくなります。
バイヤー側も、カラーを選べると、他のブランドアイテムとのコーディネートなどを考えながら発注が可能になります。
ここで注意すべきことは、カラー展開を増やし過ぎると、受注にバラ付きが出てしまい、生産する時のコストや、手間がかかることです。
また、カラー展開を増やすとサンプルを増やすことも考えなければなりません。サンプルが無い場合はイメージがつかめるカラースワッチを用意するなど、準備する手間が多くなります。
最初の展示会などは、サンプルのカラーのみの1色展開か、多くても3色展開に止めておくことをオススメします。
オーダーシートと納期の決定とは?
展示会ではバイヤーから受注をもらうために行っていますので、オーダーシートと呼ばれる用紙にオーダー数量を記載してもらう必要があります。このオーダーシートの作り方は後ほど詳しくご紹介しますが、主にサンプルの品番や写真、値段などの詳細が全て載っているシートとなります。
最低限必要な記載内容は、
・ 品番
・ 商品の写真もしくはイラスト
・ 値段(基本的に定価を記載します)
・ 納期(大まかな月を記載)
・ カラーバリエーション
・ サイズバリエーション
このような情報を分かりやすく表示します。
注目するポイントは納期です。
バイヤーがブランドアイテムを発注する際に、必ずチェックすることが「入荷する時期がいつになるのか」です。
魅力的なアイテムであっても、入荷する時期が遅すぎる場合は問題があります。
他のブランドとの提案や打ち出しのタイミングに合わないので、発注を見送られる場合があります。
また、生産に問題があり、オーダーシートに記載した納期よりも大幅に遅れた場合、キャンセル扱いとなり受け取ってもらえないこともあります。
そのため、記載する納期は、万が一のトラブルに備えて余裕を持った日程にすることや、他のブランドの入荷日と同じような日程にする必要があります。
大まかな基準としては、春夏シーズンのアイテムは、2〜3月頃の納品。秋冬シーズンのアイテムは、7〜8月頃の納品であれば、遅すぎると感じることはないはずです。
オーダーシートを作る時点では、生産してもらう工場や生地の手配先などに、大まかなスケジュールを伝え、受注が来た時に対応できるように段取りを組んでおきましょう。
ルックブックでイメージを伝える
展示会で必ず必要ではありませんが、あるとよりブランドを理解してもらえるものがルックブックです。これは、シーズンのテーマとなるイメージ写真や画像などと共に、伝えたいメッセージをまとめたパンフレットのようなものです。
さらに、モデルが着用したサンプルの写真を載せることで、展示会場でハンガーにかかっている状態から、着用時のシルエットや全体のイメージを見せることができます。
ルックブックと呼ばれていますが、本のような状態になっていなくても、A3サイズの紙にたくさんの写真が載っているものでもスタイルは自由です。
特に大きな合同展示会では、バイヤーはたくさんのブースを回ることになり、気になったアイテムの写真を撮っている時間はありません。
そこでルックブックにサンプルの写真が載っていれば、バイヤーにも分かりやすく、ブランド全体のイメージをより明確に伝えることができます。
ただ、ルックブックは合同展示会などではたくさんの方に配りすぎないように注意しましょう。
セレクトショップのバイヤーの中には、オリジナルアイテムをデザインするネタ探しで来場している方もいます。
たくさんの方にルックブックを配っていると、デザインやアイディアをコピーされる恐れもあります。
ルックブックは、本当に自分のブランドに興味を持ってくれたバイヤーにだけ渡すようにしましょう。
<M>ハンガー、ラックなどの什器も忘れずに
自分自身で展示会を行う場合には、必ずハンガーやラックなどの展示に使う什器も必要になってきます。あまり安価なハンガーやラックを使用していると、デザインの優れたサンプルも安っぽく見えてしまいます。
ハンガーは少し厚みがあるものを使用するようにしましょう。
また、プラスチックの素材よりも、木製のハンガーの方が高級感があるディスプレイとなります。
ラックに関しても、安いものであればすぐに壊れてしまう恐れがあるので、作りのしっかりとした、丈夫なものを使用するようにしましょう。
その他、小物を並べるボックスや、ブランドを紹介するパネルなどもあれば、展示会場として見た目も綺麗になります。
さらに、シーズンのテーマを連想させるディスプレイや写真などがあれば、サンプルと一体感のある会場作りができるはずです。
合同展示会などでは、ラックやハンガーを借りることもできるので、事前に確認をしましょう。
ブースであれば、壁に装飾ができることもあります。
写真を引き伸ばしたポスターを用意するなど、バイヤーに注目されるブース作りを工夫しましょう。
事前準備万全に
展示会場では、いろいろと忙しくなることが多いので、事前の準備をいかに早く忘れることなく行えるかが重要です。特にバイヤーからの質問にも応えられるように、仕様や生地の種類などをしっかりと覚えておきましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方