【第15回】ファッションブランドでTシャツを工場でプリントするには?|トピックスファロー

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2015年9月28日
【第15回】ファッションブランドでTシャツを工場でプリントするには?

デザインやプリント方法によって自分に合った工場を選ぶように、基本的なプリント方法や一般的な値段設定についてご紹介します。

ファッションライター
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工場でプリントしてみよう!

工場に依頼すると、質の高いプリントTシャツを手軽に作ることができます。
全国にTシャツをプリントできる工場はたくさんあり、選ぶ側が迷う程です。

ここでは、デザインやプリント方法によって自分に合った工場を選ぶための、基本的なプリント方法や一般的な値段設定についてご紹介します。
Shopkeeper working at promotion sales

プリントしたいデザインと工場選び

Tシャツのデザインを始める前に注意するべきことがあります。
それは、工場によってプリントが可能な場所や範囲、プリント方法が違うことです。

たくさんの設備がなく、基本的なTシャツプリントのみを扱う工場であれば、前面と後面にそれぞれA4サイズのプリントしかできない場合があります。

それとは逆に、最近ではTシャツの全面360度全てにプリントができる設備を持った工場もあります。

全面のプリントができる工場でも、360度プリントする方法はインクジェットプリントに限られることや値段が他のプリントよりも高いなど、プリント方法や値段での制限があります。

これらの特徴を事前に確認しながら工場選びやデザインを進めるようにしましょう。

まずは工場ですが、インターネットで調べることでたくさんのTシャツプリントを扱う工場を見つけることができます。

いろいろとホームページを見ると、仕上げの速さが特徴の工場。新しい技術を売りにしている工場。安さが売りの工場などがあります。

また、工場によっては、プリントできる場所や範囲が違うこともあるので、自分がデザインしたいと考えているイメージを取り扱える工場を探しましょう。

その際、プリント方法にも注意が必要です。
最新技術を使ったプリント工場ではシルクスクリーンプリントを行っていない工場もあります。

また、プリントの範囲や使用するカラーが増えることによってシルクスクリーンではプリントできない場合もあります。

デザインしたいプリントが、特殊な場合は事前に確認するようにしましょう。プリントをする工場のプロからアドバイスをもらうこともできます。

また、ネットで値段や仕上がりスピードで選ぶことも重要ですが、自宅から近い工場を選ぶこともオススメです。

デザインを仕上げるには、実際のプリントしたカラーや風合い、細かな指示など、ネット上では伝えきれない部分がたくさんあります。

自宅や仕事場から近い工場であれば、実際に出向くことで確認や指示を正確に行うことができます。

ファッションデザイナーが、頻繁に縫製工場や生地工場に出向くことがありますが、ほとんどがネットでは伝わらない細かなニュアンスや指示を共有するためです。

また、実際に顔を合わせて打ち合わせをすることで信頼関係も得られます。

より、精度の高いTシャツを作るのであれば、工場選びがとても重要です。

スクリーンプリントの特徴とメリット・デメリット

シルクスクリーンプリントと呼ばれるプリント方法は、古くから行われているプリント加工方法です。

スクリーンと呼ばれるプリントしたい部分にだけ穴の空いたスクリーンに、インクを流し込み生地に載せる方法です。

ビンテージのTシャツに多く取り入れられている方法でもあります。

メリットは、インクの発色が良く、クオリティが高い味わい深いプリントになります。カラーの表現も鮮やかに行うことができます。
比較的洗濯にも強いので、長く使用できることも特徴です。

また、一度、版となるスクリーンを作ってしまえば、プリントする際にインク代だけで済むので追加で作る際にも安価に仕上げることができます。

デメリットとしては、多色のデザインになると、スクリーンも色の数だけ必要になることです。
例えば、赤と黒の2色でデザインした絵があれば、赤色の部分のスクリーンと黒色の部分のスクリーンが必要になります。

そのため、Tシャツに2度プリントすることになるので、色が増えることで手間とコストがかかります。

また、スクリーンを作る費用が高いことも覚えておくべき特徴です。

大量にTシャツをプリントするのであれば、スクリーン作成にかかる値段も、Tシャツ1枚あたり数百円で済みますが、数枚のプリントであれば、スクリーン代が高く、プリント代が割高になることがあります。

スクリーンは一度作ってしまえば、何度でも使用できますが、工場によっては保管する期間や保管料金が発生するところもあるので注意しましょう。

本格的でクオリティの高いTシャツを作るには、ぜひ採用したいプリント方法でもあります。

インクジェットプリントの特等とメリット・デメリット

インクジェットプリントは、カラーコピーと同じ仕組みをTシャツに応用させた技術です。

シルクスクリーンのような版となるスクリーンがいらないので、コンピューターから直接プリントすることができます。

また、カラー配色も自由で、グラデーションなども表現することができます。

1枚だけのプリントにも安価で引き受けてもらえるので、サンプル製作の際にも負担にならずに作ることができます。

ただ、仕上がりは少し安っぽく見えてしまう場合もあり、洗濯によって劣化しやすいインクを使用していることもあります。

プリントする際は、価格の安さだけで判断せずにインクのクオリティを確かめる必要があります。

インクジェットプリントの特徴に、転写プリントやカッティングプリントなど、いろいろな技法が取り入れられています。

また、Tシャツ全面にプリントできることもデザインの可能性を広げています。
斬新でインパクトがあるデザインをするなら、うまく利用したいプリント方法です。

Tシャツは既製品か持ち込みか

プリントするベースとなるTシャツはすでに出来上がっている既製品のTシャツを使う方法と、自分のブランドのオリジナルで作ったTシャツを持ち込む方法があります。

通常のTシャツプリントであれば、既製品のTシャツを使うことが一般的です。
プリントの工場も、海外の有名ブランドや国内のメーカーなどからTシャツを一括して購入しているので、お買い得な値段で使用することができます。

工場のプリント費用に関しても、Tシャツの値段が含まれたプランも多く、Tシャツのブランドによって値段が変わる工場もあります。

特に有名なTシャツブランドであれば、リーズナブルな値段ながら、厚手でしっかりとした縫製になっているだけでなく、バランスの取れたシルエットなので、利用する価値は大いにあります。

さらに工場によっては、工場独自で作った無地のTシャツを利用することも出来、Tシャツブランドのものよりも安価な値段設定の場合もあります。

自分が作りたいデザインやイメージに合ったTシャツをしっかりと選びましょう。厚さが変わるだけでも、出来上がりの雰囲気はかなり変わります。

次にTシャツを工場に持ち込む場合ですが、持ち込みが可能かどうかを工場にしっかりと確認しましょう。
形や生地によっては、プリントをしてもらえない場合もあります。

また、インクジェットプリントのプリント技術の一つである転写プリントなどは、コットン生地のTシャツは使えず、ポリエステル素材のホワイトカラーのTシャツでしかプリントができない場合もあります。

持ち込みの場合は、特に生地の素材にも注意しましょう。

さらに見落としがちな部分が、工場によってはTシャツを持ち込む場合は、プリント料が割増しになることや、持ち込む料を取られる工場もあります。

持ち込む場合は事前に伝えて、追加料金が無いかどうかをしっかり確認することが重要です。

プリント代の値段の決まり方

プリント代に関しては、工場によって決め方は様々ですが、基本的に枚数が少なければ1枚あたりの値段は高くなります。

枚数が増えることで、1枚あたりのプリント代は安くなるので、できるだけ大量にオーダーすることが重要です。

また、プリントするサイズによっても値段の差があります。
当然ながら、小さいサイズであれば安く、大きいサイズになれば高くなります。
サイズも工場によって規定があるので、サイズをチェックしながらデザインを考えることで、プリントできる大きさを最大限に活かしたプリントが可能です。
ちなみに、最近行われるようになったTシャツに360度プリントする場合には、5000円程のプリント料金がかかります。

安価な値段で仕上げるコツとしては、枚数が少ない場合はシルクスクリーンプリントよりもインクジェットプリントの方が版代がかからないので、安くプリントすることができます。

個性的な、たくさんオーダーが付きにくいデザインに最適な方法です。

一方で、たくさんオーダーを取れそうなワンポイントのプリントやシンプルなデザインであれば、シルクスクリーンプリントがオススメです。

たくさん枚数を仕上げることで、1枚あたりの単価は安くなり、スクリーンも保管して繰り返し使えるので、追加のオーダーにも対応ができます。

このように、プリント代を予め調べてからデザインすることも、コストを抑える効果的な方法でもあります。

相性のいい工場を見つけましょう

自分の作りたいTシャツに関して、最適な値段設定をしている工場を見つけることが重要です。工場によっても得意なプリント方法や、作る枚数による値段設定が違います。
たくさんの工場を比べることから始めましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
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英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。