Tシャツから始めるメリット
多くのファッションブランドがTシャツのデザインから始めることはお伝えしましたが、Tシャツを作ることはたくさんのメリットがあります。シンプルで誰もが持っているTシャツならではの好条件についてまとめました。
Tシャツがいかにファッションブランドに取って重要なアイテムかどうかが分かると思います。
一番気軽に作れるファッションアイテム
ファッションブランドを始める際に、比較的気軽に作れるファッションアイテムがTシャツです。Tシャツがどれだけ初期費用が安く作ることができるかは、すでに説明済みですが、服を作る知識や技術が必要ないこと、ベースとなる無地のTシャツがあるたくさんあることもTシャツ作りのメリットと言えます。
オリジナルのTシャツを作らなくても、すでに出来上がっている無地のTシャツを利用することができます。
有名なメーカーを挙げると、「アンビル」、「フルーツオブザルーム」、「プリントスター」など、国内外でたくさんのブランドがあります。
これらのTシャツはシルエットの違いや、生地の厚さなどで比べられることがあります。
また、大きいプリント工場などでは、工場オリジナルの安価でクオリティの高い無地Tシャツを用意しているところもあります。
これらのTシャツを選び、プリントしたいロゴやデザインを加えるだけで、自分のブランドのオリジナルアイテムが完成します。
簡単に作ることができるだけでなく、商品として作りがシンプルなこともTシャツのポイントです。
不良品や著しく質が悪い仕上がりにならないので、生産をする段階で問題が起こる可能性も低いです。
好条件が揃うTシャツこそ、ファッションブランドに取って作りやすいアイテムです。
買う側も気軽に買えるリーズナブルなアイテム
Tシャツが気軽の作れるアイテムと分かったところで、お店ではどのぐらいの値段で販売されているでしょうか。ファストファッションなどのリーズナブルな値段が売りのブランドであれば、1000円以下でもTシャツを購入することができます。
逆に、高級ブランドなどがデザインしたTシャツであれば2万円以上するTシャツもあります。
一般的なセレクトショップであれば、扱うブランドによって異なりますが、ブランドTシャツで3000円〜1万円程の価格帯です。
この価格帯であれば、ちょっと気になるブランドや衝動買いなどでも購入されやすい価格帯です。
またTシャツであれば、シャツやジャケットのように、細部のサイズ感やシルエットなどにこだわることなく、簡単に日々のファッションに取り入れられるアイテムであるため、購入する側も気軽に購入することができます。
そのため、比較的新しいブランドなどでも抵抗感なく購入に至る機会が多いことも特徴です。
価格帯も日々の使い勝手からも、気軽に購入できるアイテムとしてのメリットは、Tシャツの特徴です。
デザインを落とし込むキャンバスとして最適
Tシャツは最もメッセージ性や主張性の高いファッションアイテムです。絵を描く際に使うものと言えば、白い画用紙やキャンバスですが、Tシャツもキャンバスと同じような働きをします。
自分が書いた絵や、自分が撮った写真などをTシャツのボディにプリントすることができます。
また、伝えたいメッセージなどを、英語でも日本語でも文字をプリントすれば、メッセージ性のあるロゴTシャツとなります。
このように、無地のTシャツは、プリントすることによって、様々なデザインに変わるキャンバスのような役割を果たしています。
特によく用いられている活用方法が、ミュージシャンや企業などがグッズととして、ロゴやメッセージをプリントして販売することや、テレビなどのイベントで、テーマを描いたTシャツを着て一丸となるなど、ファッションアイテムを超えて、伝えたいメッセージを共有する道具として用いられています。
ファッションブランドを始める際も、自分のブランドの方向性や伝えたいメッセージ、モチーフとしているロゴなどをTシャツで表現することで、よりたくさんの方に自分のブランドの特徴を知ってもらえるメリットがあります。
説明不要のカジュアルの王道アイテム
Tシャツは男性でも女性でも、カジュアルスタイルの定番アイテムです。誰もが1~2枚は少なくとも持っている、気軽に着られるファッションアイテムとして親しまれています。
一言にTシャツと言っても、様々なデザインがあります。
文字を施したロゴTシャツ。アート作品をプリントしたグラフィックTシャツ。写真をプリントしたフォトTシャツなどのプリントスタイルから、胸にポケットを付けたポケットTシャツ。ボーダー柄の生地を使用したボーダーTシャツ。もちろん無地の生地を使った無地Tシャツもあります。
さらに、Tシャツのシルエットを変えて、タイトなシルエットにすれば女性用のスタイル、逆にオーバーサイズのルーズ感があれば、男性用のスタイルなど、数え切れないほどの種類があります。
夏は一番多様されるファッションアイテムとして取り入れられ、夏以外では、シャツやジャケットとの重ね着や、ニットやアウターの中に着るなど、スタイリングのベースとして欠かせないアイテムです。
一年中、Tシャツはオシャレを楽しむアイテムとして取り入れられています。
セレクトショップでは、どのシーズンに買い物へ行ってもTシャツが並んでいると思いますが、常に売れる見込みがある為に陳列されています。
このため、Tシャツの需要は季節によって変化はあるものの、年間を通して売り上げが見込めるアイテムです。
これは販売する側に取って大きなメリットがあるアイテムと言えます。
工場?自作?それぞれのメリット・デメリット
Tシャツを作る時に考えなければならないことが、工場に依頼して作ってもらうのか、自分で作るのかを選ぶことです。自作の場合だと、自分のイメージ通りに納得いくまで作り直しができますが、工場であれば、依頼すればキレイな状態で仕上げてくれます。
それぞれのメリットとデメリットを挙げると、
・工場に依頼する場合
メリット
安定したクオリティが確保できる用意する道具やスクリーンの保管などを全て任せられる
袋詰めされた商品としてキレイな状態で届く
手間は指示をする時だけ
シルクスクリーン以外の幅広いプリント技術が使える
デメリット
想像していたカラーや風合いに仕上がらないことがある枚数が少ないと割高になる
・自作する場合
メリット
納得いくまでカラーやデザインのテストができる手間をかけたプリントでも材料費のみで作れる
少数でも安価に仕上がる
デメリット
道具を揃える必要がある作業場所が必要
慣れるまでクオリティが安定しない
基本的にスクリーンプリントのみ
インクジェットプリントなどは大掛かりな設備が必要
以上の特徴があります。
少数のTシャツを作る場合なら、自作する方が費用も安く抑えられ、自分のイメージ通りのカラーやデザインを再現できるメリットがあります。
また、簡単なプリントであれば大掛かりな機材は必要ありません。
市販されている「Tシャツくん」と言うシルクスクリーンプリントのキットもあり、値段も 2万〜3万円程度とお手頃です。
プロフェッショナル用のワイドタイプもあり、これさえあれば、自宅でもTシャツをつくることが可能です。
自作する際のメリットととして、工場の基本的なプリントではやってくれない脇や袖などのイレギュラーな場所にもプリントができるので、個性的なデザインも可能です。
ただし、2色以上のカラーを重ねるデザインであれば、使用するカラーの数だけプリントをしなければならないので、版がズレないように固定するなどコツが必要になります。
自分で行うには技術が必要なので、難しい場合もあります。
そのため、多色のスクリーンプリントであれば、プロの職人が行う工場に依頼した方が安定した仕上がりになります。
無理に自分で作ろうとして、クオリティを下げてしまうと安っぽい印象になりがちです。 自分の技術力とデザインの難易度を見比べながら、自作か工場での生産かを判断するようにしましょう。
オシャレなTシャツもセンス次第
Tシャツのデザインは、プリントされる柄やロゴ、グラフィックなどによって全然違うスタイルになります。オシャレで素敵なデザインにすることも、人気のないデザインになることも、プロデュースするあなたのセンス次第です。
自分らしいこだわりのTシャツを作ってみましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方