名刺は展示会前に必ず準備するべき大切なもの。
展示会に参加が決まったら、絶対に準備しておくべきものが名刺です。他の業界よりもラフな印象があるファッション業界ですが、ビジネスの必需品である名刺は必ず必要になります。
展示会などに参加した際は、名刺を最大限に有効活用します。
ここでは、名刺の重要性と名刺から生まれる受注のチャンスについてご紹介します。
展示会は渡した名刺の数が重要
ファッションブランドの展示会では、とにかくたくさんの方にサンプルを見てもらうことが重要です。大規模な合同展示会などの場合、訪れるバイヤーは限られた時間に、たくさんのブースを回ります。
バイヤーは、すでに取引をしているブランドを見てから、予め気になっている注目のブランドを見て、時間があれば会場で目に付いたブースを見て回ります。
少しでも自分のブースに興味を持ってくれたバイヤーには、何かしら次に繋がる営業努力をする必要があります。
そこで役に立つものが名刺です。
名刺を渡すことにより、バイヤーにブランド名は覚えてもらえなくても、自分自身の名前やブランドをもっと調べてみたいと思った時に、ホームページアドレスを知ってもらうことができます。
たくさんのブースを回るバイヤーにとって、大規模な展示会場だけで交渉が成立することは難しいです。
展示会が終わって、ひと段落した数日後に改めて自分のブランドについて調べてもらうことで受注に結びつくことが多いです。
その為にも、必ずブースに寄ってくれたバイヤーには名刺を渡すようにしましょう。後日、思い出してもらい、自分のブランドを調べてもらえる手がかりになります。
出展しているブランドによっては、ルックブックと呼ばれる、ブランドの服やモデルが着用して撮影されたカタログを渡す方もいますが、自分のデザインをコピーされる恐れもあります
。 特にファッション業界では、デザインのコピーやアレンジは日常的に行われているので、注意が必要です。
カタログを渡すのは、本当に気になって発注をしてくれそうなバイヤーに限って渡すようにしましょう。
むやみに配ることは避けた方がいいです。
また、バイヤーだけでなく、周りのブースで同じように出展しているファッションブランドに対しても、名刺を渡すようにしましょう。
ファッションブランドを運営している同業者なら、お互いの情報の共有をすることができます。
他の展示会の予定や評判の情報や、大手セレクトショップのバイイングを担当している方を紹介してもらうなど、チャンスを掴むキッカケとなる場合もあります。
仮にバイヤーからの発注などが取れなくても、自分と同じようなファッションブランドと交流することだけでも、展示会のメリットになります。
バイヤーからも必ず名刺をもらおう
自分だけが名刺を渡すのではなく、出来ればバイヤーからも名刺をもらうようにしましょう。名刺をもらうことで、こちらからも連絡が取れるようになります。
展示会が終わった後に、ブースに来て頂いたお礼も兼ねて連絡をしたり、発注の有無の確認を取ることができます。
好感触であれば、展示会後でも改めてサンプルを見てもらうアポイトメントを取ることも十分に可能です。
また、次回に出る展示会が決まれば、その旨を伝えるためにも頂いた名刺が役に立ちます。
ファッションブランドにとって展示会を行う際に、一番避けなければならないことは、発注して欲しいバイヤーや、発注の見込みがあるバイヤーに、展示会の情報が伝わっていないことです。
サンプルを見てもらうためにも、展示会開催のお知らせは確実に伝える必要があります。 そのため、連絡先がわかる名刺がとても重要となります。
もらい方のコツは、こちらから積極的に名刺交換を行うことです。
誠意を持って、姿勢よく自分の名前を伝えながら名刺を渡しましょう。
そうすることで、バイヤーも名刺を差し出してくれるはずです。
また、名刺を渡した後に、訪ねてみることも重要です。
「今後も、ブランドのサンプルを見て頂きたいので、名刺を頂けますでしょうか?」
と思い切って聞いてみましょう。
ブランドに興味を持ってくれたバイヤーなら名刺を差し出してくれるはずです。
印象的であれば話が広がるネタに
こちらから差し出す名刺ですが、名刺の中に何か話のネタになるようなものを仕込んでおくことも効果的です。たくさんのブランドを毎シーズン見て回るバイヤーにとって、大規模の展示会などに行くと、たくさんの名刺をもらうことになります。
名刺の山に埋もれてしまうと、ブランドを思い出してもらうチャンスも減ってしまいます。
そのため、簡単に思い出してもらえる仕掛けを作ることをオススメします。
実際に目にした例を挙げてみると、
スッキリとしたデザインでありながら、名前のところに小さめの点が1つ打ってある名刺がありました。
この名刺は、持ち主の顔にある特徴的なホクロを表していました。
名刺交換をする際に、自分のホクロがデザインモチーフだと伝えると、それだけで名刺と顔が印象に残ります。
これにより、名刺交換でよく起こる、名刺と顔が一致せずに覚えられない問題を避けることができます。
また、笑いや雑談のいいキッカケとなり、しっかりと自分を売り込めるチャンスを作ることができます。
他にも、少し費用はかかりますが、クオカードを名刺にしている方もいます。
凝ったデザインの名刺にすると、それだけでかなり費用がかかります。
そこで、同じように費用をかけるなら、オリジナルのクオカード作り、そこにブランド名と名前を入れた名刺にするアイディアです。
もらった方は少額ではありますが、コンビニなどで使えるカードに嬉しくなります。
また、名刺交換をした時のインパクトだけでなく、クオカードを使う時にも思い出してもらえるなど、自分を印象付けるために役立つ方法です。
このように、自分らしさやちょっとしたアイディアを名刺に付け加えるだけで、ブランドや自分をしっかりと覚えてもらえるキッカケとなります。
名刺作りをする時には、個性を出すことも考えてみましょう。
作るなら!ブランドイメージにピッタリな名刺が大切
では実際に名刺を作るなら、どのようにデザインを決めていけばいいのでしょうか。一般的なデザインの決め方と、ファッションブランドとしてのイメージに合うようにする簡単な方法、個性的な名刺の具体例などをあわせてご紹介します。
決め手はブランドイメージが伝わりやすいデザイン
名刺を作るなら、基本はしっかりと自分のブランドイメージと合うデザインにしましょう。重要な要素は、ブランドロゴとカラーです。
ブランドロゴは、ファッションブランドであれば、ブランド名が決まって、展示会の予定などを入れる前に完成しているはずです。
名刺を作る際には、文字だけではなく、ブランドロゴを目立つように入れましょう。
これだけで、一目見ただけで、どこのブランドの名刺なのかが分かります。
また、ロゴを入れる箇所や大きさの工夫が大切です。
シンプルなデザインが特徴のブランドであれば、小さい方がよりスッキリと見え、中心を避けた端にブランドロゴを載せることで、スタイリッシュに見えます。
その逆に、親しみやすくポップなデザインのブランドであれば、分かりやすく中心にブランドロゴを持ってくることでキャッチーな印象になります。
次にカラーですが、ブランドをイメージするカラーが決まっていれば、ベースとなる紙のカラーをイメージカラーにすることや、名前や文字をイメージカラーにするなど、色でブランドらしさを表現することができます。
これだけで、ブランドとして分かりやすい名刺が完成します。
後は、これをベースに個性的なデザインを加えることも、このままシンプルなデザインで仕上げることも可能です。
自分のファッションブランドと見つめ合いながら、名刺のデザインを考えてみましょう。
ファッション業界に多い個性的な名刺
ファッションブランドなど、オシャレに気を使う仕事であるファッション業界では、オシャレな名刺や個性的な名刺が多いです。ブランドロゴを凹凸のあるエンボス加工として名刺に加えて、肌触りでインパクトを与えたり、1枚1枚にシーリングワックスのような立体的な加工をするなど、手触りで個性を出す名刺を見ることがあります。
また、アクリルを用いたアクセサリーブランドなどでは、ブランドの特技を活かして、半透明のアクリル板に文字を削って表現し、プラスチックのプレートのような名刺を作るところもあります。
プリント生地が特徴のブランドなら、柄をベースの紙にプリントした名刺も鮮やかです。
一番簡単に個性を出すには、紙の質感を変えてみるなど、たくさんのアレンジ方法があります。
このように、名刺を作るだけでも、ひとつの作品を作り上げるようなデザインの決定や材料の選択など、いろいろなアイディアを考えながら出来上がっていきます。
普段、何気なくもらっている名刺も、じっくり見てみると良いアイディアとして参考になる名刺があるかもしれません。
せっかく名刺をゼロからデザインして作るなら、納得したお気に入りの名刺を完成させましょう。
デザイナーなど、肩書きを入れないメリットも
名刺を作る上で、重要な部分が肩書きです。名刺を作る際に、ファッションブランドのデザイナーだからといって、そのまま「デザイナー」と肩書きを入れると思わぬデメリットがあります。
実は、大規模な展示会などでは、出展ブランド以外のデザイナーが入場できないところがあります。
これは、展示会とは関係のないデザイナーが入場することで、デザインのコピーなどが行われることを防止するためです。
なので、肩書きをデザイナーとしていると、入場を断られる場合もあります。
ファッションブランドを運営するにあたって、参加をしていなくても他の大規模な展示会はとても参考になる場所です。
ブースの展示方法や、サンプルの見せ方。全体的にどのようなデザインが多く出回っているかなど、リサーチをするにはとても役立つ情報が集まっています。
そんな情報源でもある展示会場に、名刺の肩書きにデザイナーと加えることで入れなくなることもあると頭に入れておきましょう。
肩書きで行動範囲が制限されてしまうなら、肩書きを入れないことも選択肢のひとつです。
名刺はあくまでビジネスツール
個性的な名刺や、話題性のある名刺などもご紹介しましたが、名刺はあくまで自分を知ってもらうツールです。名前やブランド、連絡先などが分かることが重要です。
凝りすぎて、分かりにくいものや、もらう側が保管に困るような名刺にならないように注意しましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方