売り掛けをしっかり理解しよう
普段、会社勤めなどをしている方には馴染みのない経理ですが、ファッションブランドを始めれば管理する必要があります。特に大切なことが、納品した商品のお金を振り込んでもらうための請求書と売り掛けです。売り掛けと言うのは、どれだけの商品をどこのショップに納品したかを記録しておくことです。
仕組みを理解して、お金の管理で問題が起こらないように注意しましょう。
締め日と支払い日を知ろう
まず最初に知っておくべきことは、「締め支払い」です。締め支払いを簡単に説明すると、一ヶ月間に納品した商品分を月に一度の支払いでまとめて入金してもらうシステムです。
コンビニなどで買い物をするように、セレクトショップへ納品する毎に支払ってもらっていては、手間がかかります。そこで月に一度、まとめて支払ってもらうことが基本的な締め支払いのスタイルです。
そのため、一般的な締め日にあたる月末や20日に、一ヶ月間に納品した金額を計算して請求書を送る必要があります。
そして、ショップからは支払日である指定日にお金が振り込まれることになります。支払日は通常であれば翌月末。請求書を出した次の月末となります。
このように、一ヶ月単位でまとめて支払ってもらうことで、お金のやりとりを月に一度に抑え、効率良く仕事ができるように工夫がされています。
注意することは、取引先となるセレクトショップによって、締め日や支払い日が違うことがあるので、事前に確認するようにしましょう。
セレクトショップの指定した締め日には、忘れずにこちらから請求書を送ることが必要となります。
大手で多い、70%支払いの契約は注意が必要
締め支払いの仕組みが大まかにわかったところで、次は大手のセレクトショップに多い支払いのスタイルをご紹介します。大手のセレクトショップでは、独自の経理や会計のシステムが出来上がっているので、一方的な大手のセレクトショップに有利なルールが契約時に適用されています。
例えば、商品の納品先であるセレクトショップの物流センターの維持費を負担しなければならないことです。商品値段の2%程を支払い時に天引きされる仕組みになっています。
さらに注意したいルールが、納品した金額に対しての支払い額が常に70%分となる契約です。
仮に100万円分の商品を納品して請求書を送っても、支払い時には70万円しか振り込まれないルールです。
残りの30万円はもちろん次の支払日に繰り越して支払われるのですが、規模の小さいブランドでれば、この契約が負担になることもあります。
小さなブランドでも、家賃や工場などの支払い先はたくさんあり、毎月支払日には遅れることなく入金をする必要があります。
その際に、大手のセレクトショップが常に70%の入金を続けていると、徐々に入金されてくる金額にタイムラグが生じるので決められた支払日になっても手元にお金が無い、大手セレクトショップからの入金待ちの状態となってしまいます。
これが原因で、工場などへの支払いが期日までに出来ず、信用を失い倒産してしまうブランドもあります。
商品は売れているのに、セレクトショップからの入金が遅くなることで支払いが滞ってしまわないように、大手のセレクトショップとの契約時には契約内容の確認や、負担にならない商品量で納品を止めるなど、対策を取るようにしましょう。
請求書の作り方を覚えよう
請求書は毎月の締め日に必ず送る必要がある大切な書類です。基本的には、取引先であるセレクトショップへ送る用と、控えとして管理する用の2枚同じものを用意します。
必要な記載事項は、
・請求する相手先の名前と住所
・請求する自身の名前と住所
・納品した商品の詳細と金額(日時や伝票番号、金額など)
・トータルの請求額
・締め日と支払日
・請求書番号
これらが最低限記載されていれば、どんな書式でも問題ありません。
また、請求書番号なども、通し番号など分かりやすく管理できれば、どんな決め方でも自由です。
自分自身で、ワードやエクセルで作ることができますが、すでにフォーマットとして出来上がっている請求書のデータを無料でダウンロードすることもできます。
ネットで「請求書 フォーマット」と検索してみましょう。
また、オンラインでサービスを利用できる会計ソフトも個人経営者の味方として人気です。
代表的なサービスが、
・freee http://www.freee.co.jp
・弥生会計 https://www.yayoi-kk.co.jp/products/account-ol/
など。
これらのサービスは月額料金がかかりますが、請求書も作成が簡単で、会計処理とも連動しているので効率良く経理作業を進めることができます。
デザインやサンプル作成などに時間をたくさん使うためにも、これらの会計ソフトを利用して効率化を図ることも選択肢として広まっています。
会社勤めとは違うルール
締め支払いや請求書など、会社勤めをしていた時には馴染みのない仕事もファッションブランドを始めれば行わなければなりません。最初はややこしく感じますが、シンプルに考えるように努めれば慣れるはずです。より長くファッションブランドを続けるためにもお金の管理など
【連載】ファッションブランドの作り方