出版社の編集者とのやりとりが始まる(2017年4月~)
出版社から企画採用の連絡を受け、ついに出版が決まりました。
企画採用されるまでは、「企画のたまご屋さん」のスタッフ(以下、ほんたまスタッフ)とのやりとりでしたが、採用後については、直接出版社の編集者とやり取りが始まります。
企画採用されるまでの「企画のたまご屋さん」とのやりとりは、「【コラム】会社員をしながら、30代で本を出版して作家デビューした方法-その3」をご参考ください。
2017年4月。37歳の時でした。
「ヒトラー 野望の地図帳」は、「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」をベースに書籍化しました。基本的には元の文章は出来上がっていたので、書籍用に筆者がリライトしてから、編集者とやり取りする形で進めていきました。
どんな作家、物書きでも最初の本を作る時は、初めての経験になります。そのため、「こうしておけばよかった」と、出版後、多くの著者が思うようです。もちろん、筆者も例外ではありませんでした。
本を作成する過程の詳しい話は、当記事では差し控えますが、筆者の経験を踏まえて、苦労した点、心掛けていた点をお話しします。
これから本を出版したいと思っている人に参考にしていただければと思います。
苦労した点は歴史事実の検証
ロンドン空襲の際、市民が避難した地下鉄の駅があります。「日本でも東京では空襲の際、
地下鉄は避難民を輸送していた」という文章は編集者によって削除されました。それを調べた編集者に当時、空襲の際は、地下鉄の駅は閉鎖されていたと、指摘されたからです。
なぜそのような一文を入れていたかというと、筆者が中学生の時、学校の図書室で、東京大空襲の時、地下鉄の女性運転手が避難民を運んだ物語を読んだからです。そのため、当時の話を長い間、信じていたのですが、今考えると筆者が中学生の時、読んだ物語は事実の体験談ではなく、フィクションだったのかもしれません。
その他にも思い込みで書いていた部分があったのか、調べてみると実際と違っていたことがいくつかありましたし、編集者も「ヒトラー 野望の地図帳」を編集する際に、歴史事実の検証が予想以上に大変だったようです。
歴史系で執筆したい方は、編集者以外にもその分野に詳しい人にも確認してもらった方が良いかもしれません。筆者も編集者に丸投げに近い状態にしていたことは反省点でした。
心掛けていた点は、編集者との返信は迅速にすること
基本的に出版でもwebでも編集者とはメールでやりとりします。
出版社の編集者は、同時進行で他の本の編集なども行っていることが多いため、自分の本の対応に遅れることもあることも出てくると思います。それでも編集者から問い合わせ、指摘があったら、早めに返信するようにしていました。
どの仕事もそうですが、投げられたボールを長く手元に置いておくと、相手は先に進めません。仕事をする上では、相手がボールを投げ返すのが遅い場合でも、こちらがボールを持つ時間は短くして、体制を整えておくというスタンスが良いでしょう。
例えば、編集者から7つの質問がきたとします。そのうち4つは調べればすぐにわかる質問、3つは時間がかかりそうな質問だったとします。
7つ全ての質問の内容を確認してから、返信するのではなく、そのうちすぐに調べられそうな4つの質問には先に回答すれば、編集者はその情報を元に少しでも仕事を進めることができます。こちらはその間に時間のかかる3つを調べておくのです。
筆者は、webでも本でも編集者から途中で赤字を入れられた校正が返ってきたら、新規記事は中断して、校正の確認を最優先にします。理由は上記と同じです。
また、筆者は編集者の経験はほとんどありませんが、編集者はライターから反応がないことが一番心配すると思うので、すぐに答えられなくても、「いついつまでに返答します。」のような一言をこまめにすると良いかもしれません。
書籍の完成。全国の書店のドイツ史の棚に置かれる(2017年10月)
出版社とのやり取りを始めてから約半年後の2017年10月(38歳)。ついに本が完成します。
献本用に筆者の自宅に「ヒトラー 野望の地図帳」が何冊か届きます。最初に手にしたときの赤の背表紙とヒトラーの鋭い眼光のインパクトが忘れられません。
10月下旬の発売日に書店を周ったら、多くの書店でドイツ史やヨーロッパ史の棚に置かれていました。発売当初は多くの書店で平積みして置いてあり、それを見た時には胸が熱くなりました。
著書の隣には、有名な作家や研究者の本も並んでいます。
自分としては、ジャーナリストや旅行家の書籍と想定していたのですが、歴史・学問の本として扱われていることを知り、改めてそこに並ぶにふさわしいよう、これからもより深く学び続けていかなくてはいけないと思うようになりました。
書籍が新シリーズ執筆のきっかけとなる
過去執筆した原稿に、自分の思い込みで書いていた部分が多くあったこと。そして書籍が他の歴史・学問と同じコーナーに書籍が置かれていたこと。これをきっかけに、しっかりと史実に基づいた情報発信を心がけようと、改めて高校の世界史からおさらいすることにしました。
その経験が「【受験に勝つ】世界史の勉強法シリーズ」を執筆するきっかけにもなったのですが、このあたりの話については、また近いうちにご紹介できたらと思います。
次の「その6」では、書籍出版後の筆者の考え方・活動についてお伝えします。
< No.27:【コラム】会社員をしながら、30代で作家デビューした方法-その1
< No.27:【コラム】会社員をしながら、30代で作家デビューした方法-その2
< No.27:【コラム】会社員をしながら、30代で作家デビューした方法-その3
< No.27:【コラム】会社員をしながら、30代で作家デビューした方法-その4
No.27:【コラム】会社員をしながら、30代で作家デビューした方法-その5
> No.27:【コラム】会社員をしながら、30代で作家デビューした方法-その6