【朝鮮戦争】北緯38度線より北にある南北の指導者の別荘
朝鮮戦争とは?
第二次世界大戦が終わり、日本から独立した朝鮮半島は、北緯38度線を境に南は李承晩を大統領とする大韓民国(韓国)、北は金日成を首相とする朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が誕生しました。
1950年、ソ連を後ろ盾にした北朝鮮軍が朝鮮半島を統一するために突如、南側に侵入して朝鮮戦争が勃発。北朝鮮の行動を侵略と判断した国連は、アメリカ軍を中心とした国連軍で反撃を開始します。激戦の末、北緯38度線で停戦。休戦状態が現在でも続いています(2018年10月現在)。
そして、そんな南北朝鮮のトップで対立関係にあった金日成と李承晩の別荘が、韓国領内の同じ街にあります。
どうやって行く?旧北朝鮮領の花津浦
金日成と李承晩の別荘は、韓国の北東部、花津浦(ファジンポ)という保養地にあります。首都のソウルから花津浦までは、バスを1度乗り換えて、片道約4時間半です。
ソウルから花津浦までは、直通バスがありません。まず花津浦の10km南にある束草(ソッチョ)という街まで長距離バスで行きます(約2時間半~4時間、道路事情による)。束草からは路線バスに乗り換えて約1時間で花津浦に着きます。
束草や花津浦は、朝鮮戦争前まで北朝鮮に属していて、北緯38度線の北に位置します。花津浦に行く時に乗る路線バスの終点は非武装地帯(DMZ)の手前である統一安保公園のある大津です。そこから北朝鮮の山々を一望できる高城統一展望台に行くことができます。
花津浦までの順路
1. 「ソウル高速バスターミナル」から「束草高速バスターミナル」行きに乗車。
価格は17,000ウォンで、30分間隔で運行しています。
2. 束草高速バスターミナルを出て右手に進んだ所にある路線バス停留所へ。
花津浦までは1-1番バスで2000ウォン。
束草から花津浦のバスは1時間に1~2本ほどで運行。
束草から花津浦への所要時間は約1時間半をみてください。
花津浦だけならソウルから日帰りが可能ですが、高城統一展望台にも行く場合は、束草で一泊がオススメ。
ご近所さんだった金日成と李承晩
花津浦のバス停から案内板通りに歩いて行くと、左側に水族館が見えてきます。更にその先の曲道をまっすぐ進むと李承晩の別荘、左へ進むと金日成の別荘があります。どちらの別荘もバス停から歩いて15分ほどで着くことができます。2つの別荘の距離も湖を挟んで600mしか離れていません。
花津浦は、北部の避暑地ということもあって、サイクリングをしている人達、お花見のように景色を楽しみながら外でご飯を食べている人達の姿を目にすることができます。
入場料は、李承晩の別荘と金日成の別荘、共通チケットで3000ウォン。
どちらの別荘も中は李承晩、金日成、それぞれの歴史資料館になっています。主な展示文の使用言語は韓国語で、主要な展示のタイトルには英語も使用されています。
韓国の現代史を扱う歴史博物館は反日色が強いと言われます。日本統治時代の展示もありますが、反日思想を煽るというよりは、朝鮮戦争によって祖国を分断されたこと、また将来の統一に向けて祈願することを目的とした資料館になっている印象を受けました。
2つの別荘の観光客も花津浦に日帰り旅行に来て、フラッと気軽に立ち寄って行く感じです。北朝鮮では神格化されている北朝鮮の建国者、金日成の別荘の近くの海岸のベンチには、平昌オリンピックのマスコットが飾られ、カップルの愛の鍵もたくさんかけられています。子供連れの家族や若いカップルがデートに訪れているのがわかります。
数十km先には北朝鮮との軍事境界線があるにも拘わらず、緊迫した雰囲気が全くありませんでした。ソウルから束草に行くバスの中でも、筆者が訪韓する1週間前に北朝鮮の平壌で行われた、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩書記長の南北首脳会談のテレビニュースが繰り返し流れていました。
韓国国内にいると、社会体制の違いで敵対していても、同じ民族として統一したいという願望を強く感じることができます。
No.14:【コラム】朝鮮の現代史の現場を巡る韓国の旅-その1
> No.14:【コラム】朝鮮の現代史の現場を巡る韓国の旅-その2