12月から年末年始まで。残り2ヶ月をどう過ごすか。
入試直前は不安で勉強が手につかなくなる人、集中して緊張感を持って勉強できる人、さまざまだと思います。しかし、入試日が迫っている現実は変わらないので、そこに向けてやれるだけの勉強をするしかありません。
私立文系の場合、基本的に英語、国語、社会(世界史、日本史・・・)の3科目が受験科目になります。
英語と国語は言語能力を試す科目、社会は暗記科目です。「【コラム】私立文系入試の鍵は、英語と国語の読解力」編でも紹介した通り、英語や国語は短期間で成績が上がる科目ではありませんし、入試直前に追い込み勉強してもそれほど力はつかないと思います。
世界史を含めて、暗記科目である社会全般はいかに知識をたくさん詰め込むかが鍵なので、入試前日まで得点力を上げることができます。
入試直前こそ集中力が発揮する社会科目
残り2ヶ月を切ったら、英語、国語の勉強をサブ、社会科目をメインにして多くの時間を割くのが理想的です。要は遅くとも冬休み前には、英語、国語は志望校の合格点のボーダーラインに達しておくことです。
しかし、もし冬休み前までに英語と国語のどちらかが不得意で合格点に達してないなら、社会科目に賭けて逆転を狙う勝負に出ても良いかもしれません。英語と国語の両方とも合格ラインに達していなかったら、志望校を変更、もしくは浪人も視野に入れながら、やれるところまでやってみましょう。
英語と国語が合格ラインに達せず、世界史など社会科目で逃げ切ろうとするのは無理だと思ってください。
入試直前は世界史をはじめとした暗記系の社会科目は、集中して勉強できると思います。
学校の定期テストの時を思い出してみてください。普段勉強してなくてもテストの前日や数日前は、追い込まれているので必死になって勉強しているはずです。入試直前はその状態と似ているので、いつも以上の学習力が期待できます。
なので、冬休み前までに受験する社会科目の全範囲が終わってなくでも絶望する必要はありません。
ここで、なぜ英語や国語ではなく、社会科目をメインとしたのか、気になるかもしれません。
それは、社会科目は覚えれば点数に跳ね返りますが、英語や国語だとそうはいかないからです。確かに英語や古文における単語や文法は、暗記して覚えるものです。しかし、入試で文法問題はあっても、単語そのものの意味を問われる問題はありません。文法や単語は、あくまでも長文読解を解く手段の一つなのです。そのため、入試直前に単語や文法を詰め込んだところで、大幅な得点力アップは期待できないでしょう。
では、残り2ヶ月はどう勉強していくべきなのか。
次の項から説明していきます。
新しい参考書や問題集には一切浮気しない
教科に関係なく、直前期になると新しい参考書や問題集が欲しくなります。特に世界史のような社会科目は、焦りから短期間でチェックしやすく、図で綺麗にまとめられた参考書などに手を出しがちです。
しかし、この時期、新しいものには一切手を出さないでください。
「受験に勝つ!世界史の勉強法シリーズ」では、インプット用の参考書、アウトプット用の参考書を1種類ずつやることを推奨しています。それはひとつの教材に絞って徹底的に覚えた方がコストパフォーマンスが良いからです。
新しいものに手を出すと、その分余計な時間がとられてしまい、初めから使っていた教材の復習が不十分になってしまいます。本屋で手に取ったものに、使っていた教材にはない事項が載っていたら、覚えておきたいという心理になりますが、入試全体の得点配分を考えたらごくわずかな点数がアップするにすぎません。他のものに手を出すくらいだったら、英語や国語の勉強をしましょう。
【参考記事】
【世界史攻略】世界史で合格点を取る!インプット用の参考書はマンガ本
今まで使ってきたものを入試本番までに完璧に近づけよう
入試直前の追い込み期の世界史は、入試当日までに今まで使っていた教材を完璧に近づけるイメージを持ちましょう。
世界史なら、インプット用の参考書として奨励している「大学受験らくらくブック世界史の古代~近代編」「近現代編」の2冊に記載されていることは、地図を含めて全て入試に出される可能性があるものばかりです。
この時期なら、一字一句を覚えるつもり精読しても1日かければ1冊を読み切れるレベルにあると思います。
アウトアップ用の問題集は、問題と答えだけでなく問題文の文章、解説も全て覚えるつもりで暗記しましょう。100%覚えることはできないかもしれませんが、入試当日まで、少しでも100%に近づける意識を持つことが大切です。
過去問で何点取れるかを意識するよりは、手持ちの教材に集中する方が心理的な負担が減るはずです。それは過去問で合格点に達してなくても、先程述べたとおり、社会科目は暗記ができれば入試直前まで得点力がアップする科目だからです。
世界史でいえば、たとえば入試の前日に3時間かけて、勉強が手薄だった第二次世界大戦から戦後史までを、「大学受験らくらくブック世界史」で精読したとします。もし当日の試験に戦後史1題が大問で出題されたら、前日の3時間で10点くらい得点力アップできているかもしれません。
とにかく最後はうろ覚えでも良いので、少しでも知識を詰め込んだ方が、点数につながるのが社会科目です。選択式の4択を2択まで消去する知識をつけるだけでも合格に近づくのです。
【参考記事】
【世界史攻略】入試当日までこれだけをやれ!受験生が頼るべき世界史の問題集
過去問の出題形式は必ずチェック
第一志望の大学、学部の過去問(赤本に収録分)は、問題集のように一通り解いて暗記するのが理想的ですが、無理して過去問と格闘する必要はありません。
それは大学受験の場合、多くの受験生は複数の大学、学部を受けるからです。大学、学部によって出題されやすい時代や問題のクセがありますが、ヤマをはるより、古代から戦後史、文化史まで一通りやった方が、入試全体での得点力は効率が良いです。
ただし、第一志望(決まっていれば)の大学の過去問は、世界史の勉強を開始した日から意識してみておきましょう。
意識するところは、
・出題されやすい時代
・選択式と記述式がどちらが多いか
・選択式なら正誤問題や空欄補充がどれくらいあるか
・地図問題は出されるのか
・論述はあるか
などです。
インプット用やアウトプット用の教材を覚えていくときに、頭の隅に出題傾向を意識しておきましょう。
志望校や併願校は、基本的に自分が行きたいところを受けるのが理想的です。志望校や併願校が決まっていない場合や変更したい場合は、とりあえず本屋に行って各大学の過去問を見て、世界史に限らず自分が解きやすそうな問題を出す大学を選ぶのも一つの手です。
世界史に関しては、基本的に知っているか知らないかの知識量が最終的に勝負になります。
問題形式は、1種類の問題集を徹底的に覚えれば応用は十分効きます。
これはNG!カタカナや漢字には神経質にならないこと
受験する大学の問題で、記述式の空欄補充が多い場合であれば、直前期にインプット用やアウトプット用の教材を覚えている時でも、カタカナや漢字のスペルも意識しておいた方が良いですが、あまり神経質にならないでください。
書き取りに意識すると、必要以上に気になって莫大な時間を浪費する恐れがあるからです。
「木を見て森を見ず」になってはいけません。
西洋史のカタカナに関しては書き取りの練習をする必要がありませんが、カタカナの場合、先入観で覚えてしまっていることが多いです。
恥ずかしい話ですが、筆者が世界史の歴史能力検定試験を受けた時、18世紀、ロシアの皇帝が日本へ派遣した使者の名前である「ラクスマン」が問われる問題で、「ラスクマン」と回答してしまいました。
中国史の記述式の空欄補充を好んで出してくる傾向がある大学の場合、主要人物、事件、都市名だけで良いので漢字の書き取り練習はしておいた方が良いです。さすがに文化史の作品名まで完璧にするのはきついので、作者名と作品名を流して覚えておく程度で大丈夫です。
書き取り練習をするかは、あくまでも受験する大学の問題形式との兼ね合いです。とりあえず直前期にカタカナと漢字のスペルは意識しておいて、空欄補充の6-7割を取れれば良いイメージで大丈夫です。あまり細かいことまで意識すると苦しくなっていくだけです。
それより上述のように入試までに範囲を全てやりきる意識の方が大事です。