歴史能力検定の概要と試験会場の様子
歴史能力検定試験は、歴史能力検定協会という公益財団法人が主催する検定試験です。受験者からは「歴検」と呼ばれています。
本記事では筆者の受験体験を元に勉強法から試験会場の雰囲気までを紹介したいと思います。
歴史能力検定とはどんな試験か?
2019年現在は年1回(11月の下旬の日曜日)試験が開催されていて、英検のようにレベル別に1級から5級までの試験があります。
5級は「歴史入門」、4級は「歴史基本」、準3級は「日本史」と続き、3級から1級までは「世界史」と「日本史」に分かれた筆記試験が行われます。試験時間が被らない限り、各級、世界史、日本史の併願受験もできます。
歴史能力検定の詳しい情報は、下記の公式サイトで確認してください。
歴史能力検定公式サイト:http://www.rekiken.gr.jp/
実際の試験会場の様子
つぎに試験会場の様子について。3級「世界史」と2級「世界史」は実際に受験したので、試験会場の雰囲気までを紹介したいと思います。
4級、5級の試験会場の様子
歴史能力検定の試験会場では、小学生の子供たちの多さが目につきます。
4級、5級は小中学生を対象としたレベルの試験だからです。子供たちの試験が終るまで外で待っている付き添いの保護者達も多く、その光景に私立中学の試験会場と錯覚してしまいます。
大学生や社会人が受ける検定試験や国家資格試験は、当然ですが受験生は大人が中心になります。子供たちと一緒に受ける試験というのは新鮮かもしれません。
世界史3級の試験会場の様子(受験日:2017年11月)
受験した場所は神奈川県の試験会場。
横浜市内中心部の語学学校や水泳教室や貸しレクレーションルームがあるビルでした。そのビルの何部屋かを借り切って試験が行われました。
世界史3級の試験が行われた部屋は、10人程度の受験者がいました。年齢層は、定年退職した年齢くらいの男性、20代OLのような女性、そして、中学生くらいの男子が1人だけいたのに驚きました。世界史の試験で一番易しい3級とはいえ、高校で学ぶレベルの内容ですし、中学では世界史はさわり程度しかやりません。中学生の彼が世界史の試験に挑戦することに感服しました。
世界史2級の試験会場の様子(受験日:2018年11月)
神奈川県の試験会場は、横浜市郊外の大学のキャンパスで行われました。
試験日は日曜日ということもあり、他の検定試験や大学受験の大手予備校の模試も開催されていて、多くの受験生でキャンパスは賑わっていました。
歴史能力検定試験が行われたのは大教室。前回「世界史3級」を受けた時は各級別に部屋が割り振られていましたが、今回は同時間に実施する試験科目の受験生がその大教室で試験を受けました。
4級か5級の試験も行われていたので、たくさんの小学生たちと一緒に受験するという経験をしました。
全体的にどの級も、世界史受験者より日本史受験者の方が多いです。
試験会場には時計がないため、腕時計を持参(当然、携帯電話の時計はNG)しましょう。試験時間は50分なので、1問1分で解かなくてはならない計算になります。見直す時間も含めると決して長くはない試験時間です。
歴史能力検定に合格すると、何かメリットがあるのか?
社会人の場合、合格して具体的に得られる免許などはありません。日本史1級、2級に合格すると、全国通訳士試験の「日本歴史」科目を免除されるそうです。世界史に関しては特に具体的なメリットはありません。詳しくは公式サイトの下記ページで確認してください。
https://www.kentei-uketsuke.com/sys/rekiken/pass
実際には、「歴史能力検定試験に合格した!」という自己満足以外はないかもしれませんが、合格証を手にして得られるメリットを考えてみたいと思います。
歴史能力検定に合格するメリット
筆者の個人的な考えですが、資格や学歴というのは自分の都合の良いように利用するものだと思っています。そのうえで、以下の2点でメリットを感じられるのではないでしょうか。
1. 履歴書の資格欄に記載できる。就職、転職の面接の際、話のネタになる。
企業の面接官の多くは中高年層なので、趣味のひとつとして、またはビジネス上での教養として歴史を学んでいる人が多いです。面接官の目に歴史能力検定試験合格が目に入れば、面接での話のネタの一つができるかもしれません。
それが採用される直接のきっかけになることはないかもしれませんが、面接は雰囲気や流れが重要です。面接で自分に追い風を吹かせるためには、些細な話から盛り上げていくのもキーポイントです。
また、歴史を学ぶ社会人は日本史を学んでいることが多く、世界史だと珍しがられる可能性があります。好きな時代や地域、なぜ世界史を勉強したのかを答えられると、しっかりと考えを持った人だと思われるかもしれません。
もちろん、予備校、塾、学校業界に就職したい人は、世界史、日本史の1級を持っていれば、大きな武器になることは言うまでもありません。
2. 歴史系ライター、小説家のようなフリーランスはプロフィールのネタになる
就職だけでなく、フリーランスでやっていきたい人にも資格や学歴は武器になります。
著者が歴史能力検定試験を勉強したきっかけの話にもなるのですが、著書「ヒトラー 野望の地図帳」(電波社)を出版する以前に、別の出版社の編集者から書籍化についての話がありました。
しかし、面談の時、編集者から著者プロフィールに、史学科出身だったらと説得力があったと指摘されました(著者は経済学部出身)。結局、採用には至らなかったのですが、歴史系作家、ライターとして、プロフィールに少しでも厚みを持たせるために、歴史能力検定試験を受けようと思ったのも理由の一つです。
歴史系ライターでも、世界遺産検定など、歴史に関する資格取得に励む人は結構います。
3. 歴史の知識の核を作るのに最適な歴史能力検定試験の勉強
著者は、ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ、著書「ヒトラー 野望の地図帳」(電波社)を執筆しているように、専門の地域はヨーロッパで、専門の時代は20世紀の世界大戦になります。
しかし、歴史は特定の地域、時代も全ての地域、時代と密接に関わっています。だからこそ、通史で世界史を勉強する必要を感じていました。また、大学受験の時は、日本史選択だったので世界史はほとんど勉強していなかったので、高校の歴史を復習できる歴史能力検定試験の勉強は、歴史の知識の核を作るのに最適だったのです。
大学生、社会人で歴史能力検定試験を受ける人の大半は、歴史好き達が日頃、歴史を勉強して腕試しに受けるのです。
ぜひ、歴史能力検定試験の勉強を楽しみながら、歴史の基礎知識をつけていきましょう。
合否に関係なく、試験が終わった後、歴史の本を読むと理解が一層深まり、歴史の面白さを更に実感することと思います。それこそが歴史能力検定試験を受ける最大のメリットだと思います。
歴史能力検定試験の申し込み方法
2019年の歴史能力検定試験の申し込みは、下記の公式サイトのページから申し込めます。
試験日 :2019年11月24日(日)
申し込みサイト:https://www.kentei-uketsuke.com/sys/rekiken/entry
申し込み締切日:2019年10月15日(火)
また、別記事「【歴史能力検定試験】世界史2級、3級に合格する勉強法」にて具体的な勉強法について紹介しています。興味を持った方は、こちらもご参考ください。
著書「ヒトラー 野望の地図帳」のご紹介
現在「【受験に勝つ】世界史の勉強法シリーズ」とは別に、「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」も連載しています。
ヨーロッパを中心とした戦跡を巡る旅行記で、実際にその場に行ったからこそ感じる当時の名残と現在の日常風景を、独自の視点で描いています。本シリーズは、おかげさまで書籍化され、各書店の歴史の棚の世界史やドイツ史のコーナーに置かれています。
読者の方々からは、時代背景が簡潔でわかりやすい、学者とは違うテイストが新鮮、という感想をいただいております。歴史好きはもちろん、ちょっとマニアックなヨーロッパ旅行をしたい方々の旅のお供になる本なので、web連載とあわせて、ご興味をもっていただけたら嬉しく思います。
著者名:サカイ ヒロマル
出版社:電波社
価格 :1,400円(税抜)