No.14:【コラム】朝鮮の現代史の現場を巡る韓国の旅-その2|トピックスファロー

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2018年10月18日
No.14:【コラム】朝鮮の現代史の現場を巡る韓国の旅-その2

朝鮮史は、西洋史、中国史と比べるとマイナーですが世界史にも出てきます。近現代になると世界の歴史の中で動き始める朝鮮史。その現代史に出てくるゆかりの場所を周ってきました。また、波紋を呼んでいる日本大使館前の従軍慰安婦像も訪れてきました。

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【三・一独立運動】三・一独立宣言が布告された公園

三・一独立運動とは?

第一次世界大戦の末期にアメリカのウィルソン大統領が、14か条の平和原則を発表して、その一つに民族自決がありました。それに呼応して1919年3月1日、当時日本の統治下にあった朝鮮が独立するために民衆がデモを起こしました。三・一独立運動、万歳独立運動朝鮮と呼ばれる事件です。それはソウルの中心部の公園から始まりました。

三・一独立運動(大学受験らくらくブック世界史近現代編より転載)▲三・一独立運動(大学受験らくらくブック世界史近現代編より転載)

老人の憩いの場になっているパゴダ公園

パゴダ公園(現在は「タプコル公園」と呼ばれています)は現在もソウルの中心街にあります。独立を掲げるデモがあったということで大きい公園かと思いきや、こぢんまりとした公園で拍子抜けします。市民の憩い場となっています。

パゴダ公園の入口▲パゴダ公園の入口

園内▲園内

公園の奥にある八角亭は、独立宣言が読み上げられた神聖な場所ですが、その神聖な場所に地元のご老人が座って談笑している光景があります。他にも独立記念レリーフなど、道立運動を記念するものがいくつかありますが、それを真剣に見ている人達はあまりいなく、歴史とは関係ない地元の憩い場となっている印象を受けます。 とはいえ、公園の入り口では、日本でいう右翼団体のような人が演説している姿もあります。

八角亭▲八角亭

八角亭でくつろぐ地元の人達▲八角亭でくつろぐ地元の人達

独立記念レリーフの前も地元の老人の方々が休日のひと時を過ごしている▲独立記念レリーフの前も地元の老人の方々が休日のひと時を過ごしている

三・一独立運動によって日本から独立することができませんでしたが、その運動を境に、日本の統治政策は武断政治から文化政治といわれる政策に転向します。これにより、日本による支配の厳しさが少しやわらぎます。
しかしその後、日本が日中戦争に突入して準戦時体制になると、日本は朝鮮に対して「日本名への創始改名」と「日本への強制連行」を始めました。

そしてそれは、現代の日韓間で遺恨となって残っています。

▼アクセス

地下鉄1号線の鐘閣(チョンガク)駅

【現在】日本大使館前にある従軍慰安婦像

パゴダ公園から歩いてもいける距離に、韓国の日本大使館があります。

日本大使館前には、現在ニュースでも取り上げられている従軍慰安婦像があります。日本統治時代に従軍慰安婦として徴用された慰安婦に対する賠償を日本政府に求める韓国の団体が設置したものです。

日本国内では波紋を呼ぶ従軍慰安婦像の設置ですが、筆者は、メディアによる報道、日本国内のネット上のコメントだけだと一般の韓国人の真意がわからなかったため、一度この現場をみたいと思っていました。

従軍慰安婦像▲従軍慰安婦像

筆者が感じたその時の雰囲気を簡単にご紹介します。

従軍慰安婦像を訪れたのが休日のお昼時ということで、見物している韓国人が何人かいましたが、政治的な意図があって来ているというよりは、野次馬で来ているような印象を持ちました。

従軍慰安婦像の隣には椅子があり座って、記念撮影することもできます。30代の前半くらいの若い母親が、小学校低学年くらいの息子を座らせて記念撮影していました。
訪問の記念として、筆者も従軍慰安婦像の隣に立って記念撮影しようと思い、その母親に撮影をお願いしたら、日本語のガイドブックを持ち明らかに日本人とわかる格好にも関わらす、快く応じてくれました。

レリーフには日本語もある▲レリーフには日本語もある

垂れ幕▲垂れ幕

また、2018年9月現在、ソウルの日本大使館は改装中で目の前は空き地になっています。従軍慰安婦像の近くで警備している20代前半くらいの若い警察官が1人いたので、日本大使館の所在をたずねたら、「たぶん、あそこのビルの中に入っていると思う。」と英語で返答してくれました。
やってきた日本人に警戒するわけでもなく、従軍慰安婦像の警備という仕事に情熱を燃やしているというよりは、仕事として仕方なくやっているという雰囲気がこの警察官の方から伝わってきます。

工事中の日本大使館(2018年9月現在)▲工事中の日本大使館(2018年9月現在)

従軍慰安婦像の隣にはテントがあり、中には像を設置した団体の人間と思われる人たちが4人いるのがわかりました。パソコンも持ち込んでいました。もしかしたら、24時間体制で見張っているのかもしれません。

従軍慰安婦像へ日本人が訪れると、嫌な顔をされるということはありませんが、テントを持ち込んでまで監視する団体の執念深さに緊張感もあります。

▼アクセス

地下鉄1号線の鐘閣駅

鐘閣駅から日本大使館への地図。日本大使館は左上▲鐘閣駅から日本大使館への地図。日本大使館は左上

海外旅行の足掛かりにオススメの韓国

大学生になって、海外旅行をする人も多いと思います。
そんな人に最初にオススメしたい渡航先は、「韓国」です。一番の理由は、安く短期間で行けることです。また、朝鮮半島にはお客さんをもてなすという伝統文化があるので、旅行者に対して親切にしてくれることが多いので、旅慣れてない人も旅行しやすいと思います。

冷麺が美味しい(相場は700ウォン程)▲冷麺が美味しい(相場は700ウォン程)

韓国の巻きおにぎりは安くて家庭的な味▲韓国の巻きおにぎりは安くて家庭的な味

欧米諸国を旅行していると、韓国人の個人旅行者にたくさん出会うと思います。一度でも韓国に行ったことがあれば、ユースホステルで同じ部屋になったり、朝の食堂で顔を合わせた時、彼らと話すネタの一つにもなるはずです。

従軍慰安婦設置などからわかるように、歴史認識などを通じて日韓間で深い摩擦が生じています。しかし、固定観念や既存の情報を鵜呑みするだけでなく、実際に現場を訪れて自分なりに考えてみるということも大切なのではないでしょうか。現場主義というのは、価値観や情報が氾濫している今だからこそ、勉強でも仕事でも大切だと思います。

ソウルの発展に貢献した東西に流れる漢江(ハンガン)
▲ソウルの発展に貢献した東西に流れる漢江(ハンガン)

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もしも歴史を辿る旅に興味をもったなら…

現在「【受験に勝つ】世界史の勉強法シリーズ」とは別に、「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」も連載しています。
ヨーロッパを中心とした戦跡を巡る旅行記で、実際にその場に行ったからこそ感じる当時の名残と現在の日常風景を、独自の視点で描いています。もし今回の旅に少しでも興味を持たれた方は、ぜひ「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」も読んでみていただけたらと思います。

著書「ヒトラー 野望の地図帳」のご紹介

前述で紹介した「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」ですが、おかげさまで書籍化されることとなりました。各書店の歴史の棚の世界史やドイツ史のコーナーに置かれています。

読者の方々からは、時代背景が簡潔でわかりやすい、学者とは違うテイストが新鮮、という感想をいただいております。歴史好きはもちろん、ちょっとマニアックなヨーロッパ旅行をしたい方々の旅のお供になる本なので、web連載とあわせて、ご興味をもっていただけたら嬉しく思います。

ヒトラー 野望の地図帳

ヒトラー 野望の地図帳
著者名:サカイ ヒロマル
出版社:電波社     
価格 :1,400円(税抜) 

著者:HIRO

戦争遺跡ライター
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ヨーロッパ各地の世界大戦の戦争遺跡を周って取材しています。
だから、戦争遺跡ライターです。
学生時代から、事件、事故現場、戦争跡地を野次馬のように行くダークツーリズムラー。
特にヒトラー、ナチスなど、第2次世界大戦のヨーロッパ戦線に関することが一番好き。
しかし、重いテーマの旅をしているかというと、旅行先では美味しいご当地グルメを堪能して、お酒を飲んでいます。時には道に迷ってテンパったり、ヨーロッパの街並みに感動したりと、見かけはヨーロッパが大好きな普通の旅行者です。

▼TOPICS FAROで連載中!
「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/warruins
同シリーズが書籍化されました。
「ヒトラー 野望の地図帳」(電波社)から全国書店の世界史コーナーで発売中。

「受験に勝つ!世界史の勉強法」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/wh
世界史の勉強方法についての記事も連載を開始しました。
大学受験で合格点を取る方法を中心に大学生や社会人の大人の教養としての世界史の勉強方法にも触れています。

▼ブログ
http://warruins.exblog.jp/

▼ニコニコ動画
「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡」シリーズを
ダークツーリズム・ジャパンのニコニコ動画にも寄稿しています。
http://ch.nicovideo.jp/darktourism

▼ご依頼、ご質問はこちらのメールまで
hiromaru_sakai@yahoo.co.jp