中途半端に妥協して一生後悔するくらいなら、再チャレンジ
一昔前は「みんなが浪人するから、自分も(なんとなく)浪人する」という人たちが大手予備校を中心に溢れていました。しかし、現在は、少子化が進み、選ばなければ大学に入れるようになり、浪人までして大学に行く人が少なくなっています。 そのため大手予備校の多くの校舎が閉鎖しています。
浪人するかしないかは、最終的には本人の意思次第になりますが、周りに左右されることなく熟考してから決断しましょう。なぜなら、ここでの決断は将来にも関わってくるからです。
自分を貫き、浪人してでも志望校を目指す姿勢は、生涯の糧となります。そして合格した時には、自分に自信がつくことでしょう。
一生に一度の人生、二浪までなら勝負してみる
当然ですが、浪人したから、成績が上がる、志望校に行ける、というわけではありません。しかし、仮に浪人して志望校がダメだったら、諦めがつく可能性が大きいです。現役時の1度の失敗、後悔なら、後の人生で引きずる可能性がありますが、2度挑戦してダメなら、これが自分の実力だったと割り切りやすいと思います。
そして、最悪浪人しても失敗しても、本当に行きたい大学、または大学へ行く意志があるなら、二浪までなら就職にも影響ないので、再々挑戦すべきだと思います。
昔から浪人すればするほど、社会に出る時間が遅れ、定年まで稼げる収入が減るという理論があります。しかし、現在は「人生100年時代」といわれて、各企業では定年延長も検討されています。
学校を卒業してから、定年まで一つの会社に勤める人は、昔に比べ少なくなりました。その会社内でも転職者、他企業からの出向者、派遣社員、委託社員など、あらゆる雇用形態、年齢の社員が働いているのです。また、会社員以外にもフリーランス、起業、副業と会社員との二足のわらじなど、様々な働き方があります。
そんな時代だからこそ、最終学歴は多少遠回りしてでも納得いくものにして、社会に出ても良いのではないでしょうか。
浪人中は予備校に行くか?宅浪するか?
予備校や塾に行くか、宅浪にするか、浪人が決まった時に最初に悩むことです。
予備校や塾に行く場合、宅浪する場合のメリット、デメリットを上げたいと思います。
予備校や塾に行く場合
メリット
学校のように毎日、授業が用意されているので、生活リズムが作れる。
他の浪人生と一緒に授業を受けるので、孤独に陥りにくい。
デメリット
予備校代の費用がかかる。
余計な授業を多く受けさせられる可能性がある。
宅浪の場合
メリット
お金がかからない。
時間はすべて自由に使える。
デメリット
勉強方法がわからない。
わからない時に聞ける人がいない。
どちらを選ぶべきか…
結論からいえば、自分の趣向にあった手段を選ぶのが一番良いでしょう。
個人的な経験からいわせてもらうと、浪人したら、予備校や塾の単科の授業だけ(たとえば苦手な科目)を受けるようにすれば良いと思います。単科の授業のみを受講する場合でも、予備校、塾に駐在している講師のアシスタントであるフェロー(大概、その予備校、塾出身の優秀な大学生)に受講科目以外の質問をすることができます。
筆者は浪人中、大手予備校の本科生として通っていましたが、本科生の授業のカリキュラムは必要以上に多かった印象があります。また、まだ新米講師や人気のない講師の授業を受けさせられることもありました。予備校側の裏の意図としては、まだ実力のない講師を訓練させる場が本科生のコースだったのだと思います。
また、予備校や塾の授業はコース名より講師名で選んだ方が良いでしょう。どの講師が良いかは受験生との相性の問題になりますが、人気講師はそれだけ昔から受験生に支持されている証拠なので無難です。
浪人後の勉強について
どのような勉強法であれ、浪人を選んだ場合はどのように勉強していくべきか。筆者の経験をもとにご紹介します。
世界史は独学でも充分、合格点が狙える科目
私立文系の場合、英語、現代文、古文、社会の選択科目が基本です。世界史に関しては、「【受験に勝つ】世界史の勉強法シリーズ」を参考にしていただければ、予備校や塾の授業を取らなくてもやっていけると思います。
世界史は本シリーズで勧めているように、インプット用の参考書、アウトプット用の問題集、各1種類を隅々まで覚えつくすつもりやりましょう。基本的には現役時代の勉強方法を変えなくて良いです。
ただし、まだ1年あるから、問題集を数冊やれるなんて幻想をいだかないでください。現役時に付けた知識を維持するだけでも、かなりの労力を費やします。世界史を1ヵ月全くやらなかったら、一気に得点力は落ちてしまうでしょう。
浪人が決まった時点で、レベルを問わず世界史の知識は多少なりともストックはあると思います。まずは、英語、現代文、古文に力を入れましょう。私立文系は暗記ではなく、言語の読解力が合否の決め手です。言語科目は短期間で伸びる科目ではないので、まずは一番苦手な科目から手をつけていきましょう。
浪人したら成績が上がるという甘い考えは捨てること
現役生は、勉強時間できる時間が圧倒的に多くなる浪人生は、成績が上がると幻想を抱きがちですが、それは大きな間違いです。
もし、現役時代に部活などでほとんど勉強できずに浪人した人なら、勉強を始めれば急激に成績は伸びるかもしれません。それは元々知識が0に近いところから始めているからです。
偏差値30から50までならすぐ上げることはできるかもしれませんが、偏差値60から65に上げるには大変な労力がいります。
そのため、現役時代にある程度勉強した浪人生は、勉強時間の多くを現役時代の知識のストックの維持に使うというイメージを持ってください。これは新鮮味のない単調作業にもなりやすく、思っている以上に難事です。しかし、ここをおろそかにしたら、絶対に現役時代以上の結果は出ません。
現役時の得意科目でも守りに逃げない
浪人したら、勉強のモチベーションを上げるために、志望校のランクを上げるのも良いと思います。しかし、現役時代は私立文系専願で、早慶上智を第一志望で再チャレンジする場合、現役時代で一番得意だった科目を絶対的な得意科目にするようにしましょう。
たとえば、現役時代、英語は合格点ボーダーに達していた、苦手な国語と世界史の勉強が全範囲終わらず、早慶上智が不合格だった場合。
まずは苦手な国語を克服するようにしますが、ある程度できていた英語は余裕だと思い守りに入っては絶対にいけません。得意科目でも翌年の受験まで長丁場なので、手を抜くとすぐ力が落ちてしまいます。そのため、英語は早慶上智の中でも英語が一番難しい学部や、早慶上智どこでも過去問で合格点取れるくらいのレベルまで持っていってください。
浪人生は遊ぶのが厳禁というイメージがありますが、夏に短期の旅行、月に1回くらいは昼間に遊びに出かけたりして、たまには息抜きもしましょう。浪人生活はどうしても単調になりがちなので、そうやってオンとオフも切り替えながら、常にモチベーションを高くして自分を刺激してください。できる現役生にすぐに抜かされてしまいます。
なぜなら、本番での合格者の多くはワンランク上のレベルに入学する受験生の滑り止め合格だからです。
浪人生は、マーチ、関関同立を第一志望の受験生は早慶でも戦えるくらい、早慶上智が第一志望なら、早慶上智どこでも受かるくらいの気持ちで勉強しましょう。
著書「ヒトラー 野望の地図帳」のご紹介
現在「【受験に勝つ】世界史の勉強法シリーズ」とは別に、「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」も連載しています。
ヨーロッパを中心とした戦跡を巡る旅行記で、実際にその場に行ったからこそ感じる当時の名残と現在の日常風景を、独自の視点で描いています。本シリーズは、おかげさまで書籍化され、各書店の歴史の棚の世界史やドイツ史のコーナーに置かれています。
読者の方々からは、時代背景が簡潔でわかりやすい、学者とは違うテイストが新鮮、という感想をいただいております。歴史好きはもちろん、ちょっとマニアックなヨーロッパ旅行をしたい方々の旅のお供になる本なので、web連載とあわせて、ご興味をもっていただけたら嬉しく思います。
著者名:サカイ ヒロマル
出版社:電波社
価格 :1,400円(税抜)