英文を読む中で文法と単語、熟語を覚える
一番時間をかけてほしい英文解釈の問題集
- 基礎英文問題精講(旺文社)-
「大岩のいちばんはじめの英文法 超基礎文法編」(東進ブックス)を完璧にしたら、次は「基礎英文問題精講」(旺文社)を片っ端から英文を読み込んでいきましょう。
基礎英文問題精講は、大学入試で出題された長文読解問題から10行程度を抜粋した英文が多数収録されています。関係代名詞などの構文力とitやthisなどが何を指しているのかを文脈を把握する力がつきます。それと同時に単語、熟語、文法も覚えることができる英文解釈の問題集です。
現在、難関私大の長文読解問題は、非常に長い文章を読ませます。そのため、速読が重要と思われますが、一文一文をしっかり読む力がないと、雑な読み方になってしまい点数が伸びません。だからこそ、英語の勉強で一番時間を割いてほしいのが、この基礎英文問題精講の読み込みなのです。
使い方
構文編、文脈編、応用問題編があります。
10行前後の英文による問題 | 練習問題 | |
---|---|---|
構文編 | ||
文脈編 | ||
応用問題編 |
(10行前後の英文による問題では、重要類題として、数行程度の英文が載っています)
まずは構文編と文脈編を徹底的にやりましょう。
構文編と文脈編の構成は、以下のとおりです。
順番は、構文編と文脈編の10行前後の英文による問題(重要類題含む)をすべて終えてから、練習問題に取りかかります。そして、練習問題を終えたら、再度10行前後の英文による問題を解きます。
これを何度も繰り返します。
よく「何回繰り返せば良いか?」という質問がでてきますが、時間の許す限り何回でもやりましょう。ここで英文をしっかり読み込むことで、その後の伸びが違ってくるからです。
注意する点は以下です。
- 文章の中にある、構文、熟語を見抜けているか。
- 主語、述語の関係は把握しているか。
上記を意識して、頭の中で100%日本語訳が完成していなくてもいいので、文構造を理解することに主眼を置いてください。
慣れないうちは日本語訳も熟読しながら、英文を1文ずつ読んでいってもいいです。
- 復習するペースも、5問、10問やったらもう一度復習する。
- 土曜、日曜日に月曜から金曜日にかけて読んだ英文をもう一度読んでみる。
また、各問題の下の「語句、構文」に出てくる単語、熟語もすべて覚えましょう。意味や同意語など、最小限の説明で英文に出てくる単語の単語帳になっています。
他の単独の単語帳より、情報がコンパクトであり、読んだ英文の中で出てきた単語なので、覚えやすいはずです。語句の単語だけでも定期的に復習するのも良いと思います。
「構文編」「文脈編」の後には、「応用問題編」が続いていますが、一旦、基礎英文問題精講はおいて、次に紹介する英文法に着手しましょう。
文法の問題集は1冊だけ完璧にする
-Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の征服(桐原書店)-
基礎英文問題精講をある程度読み込んだら、「Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の征服」(桐原書店)(以下ネクステージ)を使っていきます。
この問題集は左に短文、右に答えと解説がついています。文法、熟語の穴埋め、正誤、整序問題などが1,457問を収録。世界史や日本史の一問一答問題集の英語版のような問題集と考えてもらってよいです。
使い方
一度解いて答え合わせをしたら、問題文の穴埋め問題は正解の単語を空欄に、正誤、整序問題は正解の英文を記載して、問題集 兼 参考書としてどんどん暗記していきましょう。
基礎英文問題精講と同じように、ある程度進んだら「定期的に復習、先に進む」を繰り返しながらやっていくと良いと思います。
1ページごと、1つの章ごとに答え合わせをしても良いですが、問題を解くのに時間をかけるのは避けてください。1問1分の制限時間をつけて、わからなかったらすぐ解説と答えを見て覚えていきましょう。
基礎英文問題精講で力をつけていれば、ネクストステージは正答率は高くなくてもサクサクと進めることができるはずです。スピードを重視して、英文そのものを丸暗記するつもりで進めてください。それにより単語だけでなく、英文解釈の力も鍛えられていきます。
難関私大の英語問題は、文法問題よりも長文読解の問題に比重をおいています。ネクステージは、そんな長文読解に対応した問題集として使い込みましょう。
単語帳は不要
多くの受験生は市販の単語帳を持っていますが、単語帳は必要ありません。
その理由は、単語そのものの意味を尋ねる問題はほとんど出ないからです。単語は基礎英文問題精講とネクステージの英文を読む中で覚えていきましょう。その方が単語を生きた形で覚えることができます。
高校3年生の夏休みが終わるまでには2冊を仕上げる
英語が得意でも過去問を解くよりも基礎知識を徹底的につける
高校3年生になる前から勉強を開始した人や浪人生で、それなりに英語に自信がある受験生でも、高校3年生の夏休みが終わる頃までは「基礎英文問題精講」と「ネクステージ」の2冊だけを徹底的に繰り返してください。仕上がりが早い人は、「基礎英文問題精講」 の応用問題編もやっておきましょう。
英語にある程度自信がある人は同じ問題集のみをひたすら繰り返すのは、少し窮屈かもしれません。それでも、基礎英文問題精講なら問題の下にある「語句、構文」の単語、熟語、ネクステージなら、各ページにランダムに登場する「整理」に出てくる表現をすべて覚えるつもりで、英文解釈の力、単語、熟語、文法の知識をしっかりつけましょう。
世界史などの社会もそうですが、難関私大は基礎知識を隅々まで徹底的に覚えるかが合格への鍵となってきます。
志望校の過去問は、出題形式などをチェックしたり、達成度を測るために気分転換に解いたりするくらいなら良いですが、高校3年生の夏休みまでは解けなくても大丈夫です。英語の基礎知識がしっかりしていれば、秋以降の過去問演習期に入っても伸びます。そのためには英文解釈の力を徹底的に身につけることが大事です。またそれは、そこに穴があると過去問演習期になっても伸びにくくなることを意味します。
夏休みが終わる頃までは、2冊のメンテナンスに力を入れてください。下手に志望校の英語の過去問に手を出して背伸びをするくらいであれば、その時間を国語や社会など他の科目を伸ばすことに使った方がいいです。
英語が苦手な人、勉強を始めるのが遅かった人
いつから英語の勉強を始めたかによりますが、遅くても当記事で紹介した基礎英文問題精講(構文編、文脈編)とネクステージは遅くとも高校3年生の夏休みが終わるまでには一通り仕上げたいです。
理想は、夏休み前までに基礎英文問題精講(構文編、文脈編)、夏休みはネクステージと基礎英文問題精講の復習ができている状態です。しかし、仮に夏休みまでに終わらない場合は、一通り終わらせる目途を9月、10月と後ろにずらすなどして終わらしましょう。
私立文系の場合、英語が致命傷だと絶対に受かりません。また、英語は同じ語学系の国語と違い、やれば点数に跳ね返ってきやすい科目で、国語より配点が高いことが多いです。だからこそ、少しでも点数を上げるために、この2冊を終わらすことが大切です。
この2冊を徹底的に仕上げれば、少なくともマーチ、関関同立レベルの大学なら、それだけで合格点に近い知識はつくはずです。
夏休み以降は、過去問演習が中心になれば理想的
過去問演習期でも2冊の復習は必須
基礎英文問題精講の構文編、文脈編、ネクステージを一通りやったら、夏休み以降は、志望校の過去問を何年分か制限時間内に解いてみましょう。もし半分近く正答できて、なんとなりそうという実感があれば、基礎英文問題精講の応用問題編以降はやらずに、過去問演習中心に取り組んでいきましょう。
過去問も余裕があれば、志望校の学部以外の問題にも手をつけてもいいですが、過去問演習も手を広げるより、初めて解く気持ちになって何度も解き直すことが大切です。そして問題傾向やクセを体にしみ込ませましょう。それが入試当日に威力を発揮してくれるはずです。過去問に出てきた単語、文法も貪欲に覚える姿勢も大事です。
また、受験する大学の過去問演習を中心に取り組みつつも、今まで使った2冊の復習は少しずつでいいので入試直前まで続けましょう。英語の基礎知識に穴があると、入試で滑り止めの併願校の英語の問題に苦戦したり、突然、過去問と毛色の違う英文が出題されたりすると読めなくなる可能性もあるからです。
要は、基礎英文問題精講とネクステージは勉強の初期から直前まで徹底的にやりつくすということです。
過去問に手が出せなさそうなら、基礎英文問題精講の応用問題編へ
過去問を解いて、まだ手ごたえがないなと思ったら、基礎英文問題精講の応用問題編の20問と練習問題20問の合計40問をやっていきます。
応用問題編は、構文編、文脈編より若干長い文章になりますが、実際の入試の英文よりは短く、入試で問われる形の問題演習ができます。過去問に入る前のステップとしてこの40問を解いてから過去問演習に入りましょう。また、英語の仕上がりが早い人なども、ぜひ応用問題編はやっておいてください。
英語も基礎と復習がとても重要
難関私大といっても早慶上智、関関同立、マーチで対策は異なってきますが、【英語攻略】独学で中学レベルから大学受験レベルまで上げる方法1 と2(本記事)で紹介した勉強法が、私大の英語対策の基本的なプランになります。
当然ですが、早慶上智なら早めに基礎英文問題精講とネクステージを仕上げて、過去問演習に多くの時間を割くのが理想です。また、どのレベルの大学を受けるにせよ、2冊を徹底的にやるということに変わりはありません。
私大の英語は、偏差値が上の大学の方が問題が難しいという単純なものではありません。早稲田の入試の英語が解けても、立教や青学の英語に苦戦する受験生はたくさんいます。他の科目でもそうですが、基礎をおろそかにしないことと、同じ問題集を繰り返しやるということが大切です。
著書「ヒトラー 野望の地図帳」のご紹介
現在「【受験に勝つ】世界史の勉強法シリーズ」とは別に、「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」も連載しています。
ヨーロッパを中心とした戦跡を巡る旅行記で、実際にその場に行ったからこそ感じる当時の名残と現在の日常風景を、独自の視点で描いています。本シリーズは、おかげさまで書籍化され、各書店の歴史の棚の世界史やドイツ史のコーナーに置かれています。
読者の方々からは、時代背景が簡潔でわかりやすい、学者とは違うテイストが新鮮、という感想をいただいております。歴史好きはもちろん、ちょっとマニアックなヨーロッパ旅行をしたい方々の旅のお供になる本なので、web連載とあわせて、ご興味をもっていただけたら嬉しく思います。
著者名:サカイ ヒロマル
出版社:電波社
価格 :1,400円(税抜)