【第18回】ファッションブランドのテクニック。OEM業者に頼んでみよう!|トピックスファロー

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2015年10月1日
【第18回】ファッションブランドのテクニック。OEM業者に頼んでみよう!

ブランドの代わりに全ての生産を受け持つOEMの会社は、とても重宝されており、東京を中心にたくさんあります。そんなOEMに依頼してサンプルを作ってもらう方法などをご紹介します。

ファッションライター
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OEMでサンプル作りを依頼してみよう

OEMとは、original equipment manufacturerの略で、他者ブランドの商品を製造することや企業のことを言います。
主にコンピューターの部品の世界で使われていた言葉ですが、ファッションの業界でも広く使われています。

ファッション業界にはOEM企業と呼ばれる、ファッションブランドやアパレル会社から委託されてサンプルや商品を作る会社があります。

自身で工場を持たない小さな会社も多いファッション業界で、ブランドの代わりに全ての生産を受け持つOEMの会社は、とても重宝されており、東京を中心にたくさんあります。

そんなOEMに依頼してサンプルを作ってもらう方法などをご紹介致します。
Model fitting by female fashion designer

希望やデザインを伝えるだけでOK

OEMの会社への依頼は、通常サンプル作りから始まります。
依頼する際は、こちらからデザイン案を渡して、パターンや縫製をお願いする方法と、デザインも全てOEMの会社へ依頼する方法があります。

厳密に言うと、デザイン案などをブランド側で行うことを「OEM」。
デザイン案や企画までも委託することを「ODM」と言いますが、ここでは全てを含めてOEMと呼ぶことにします。

どちらにせよ、依頼するOEMの会社には、自分のブランドのコンセプトや雰囲気、どういったターゲットに向けた商品なのかをしっかり伝える必要があります。

OEMの会社では、通常は複数のファッションブランドのサンプルや量産品を取り扱っています。

それぞれのファッションブランドのテイストやスタイルは違うので、OEMの会社はブランドによってデザインや生地の種類など、ブランドのイメージ通りのアイテムを作ってくれます。

また、縫製を行う工場にもコートなどの厚手生地のアイテムが得意な工場や、量産よりも手の込んだ複雑なデザインも丁寧に対応してくれる工場など、特徴が様々です。

レディースのファッションブランドで、ふんわりとしたフェミニンな雰囲気のアイテムを、厚手の生地が得意な工場に任せてしまうと、どうしても仕上がりがイメージ通りのふんわりとした形に仕上がらないこともあります。

そういった工場の特性なども掴み、最適な工場を選んで製作をしてくれるので、ブランドイメージの共有はとても大切です。

ファッションブランド側は、パターンの知識がなくても、縫製ができなくても問題がありません。
こんなデザインのアイテムを作りたいと言うアイディアやデザイン画があれば、あとはOEMの会社に任せることができます。

プロのクオリティで安心して任せられる

サンプルの生産であれば、デザイナー自らがパターンも縫製も行うファッションブランドもありますが、パターンのプロ、縫製のプロの技術と比べると、少なからず劣る部分があります。

また、自身でパターンや縫製を行うことで、サンプル製作の作業に追われ、ファッションブランドにとって大切な営業活動やデザインを考える時間を奪われることになります。
その点、OEMの会社に任せれば、一度の打ち合わせで全ての作業を行ってくれます。
パタンナーの手配から納期管理、縫製工場の確保と納期管理、生地の手配やボタンなどの付属の管理までを任せることができます。

また、デザインしたアイテムに対して、縫製の技術上難しい箇所をプロから見た視点で指摘してもえることや、変更案の提案も提示してもらえることもあります。
パタンナーに依頼してからや、縫製工場に渡って際に問題が起こり、作業が止まってしまうなどのトラブルを防ぐことできます。

さらに、どうしても表現したいシルエットやディティールなど、難易度の高いデザインに関しても、最適な方法や思考案を相談することができるので、とても頼りになるOEMの会社も多いです。

肝心の出来上がったサンプルは、仕様書と呼ばれる縫製の指示が書かれた指示書通りに、ミリ単位の正確さを仕上がってきます。

パタンナーや縫製の職人の方が丁寧の仕上げてくれるので、自分で製作するよりも、クオリティの高い仕上がりが期待できます。

細かい変更も可能!より精度の高いアイテムが作れる

OEMの会社にサンプルを依頼すれば、トワールチェックと呼ばれる仮の布で縫製を行ったサンプルを元に、デザインしたものがイメージと一致しているかの確認を行います。

この時、モデルに着用してもらうなどの実際に着た状態のシルエットや布の動きを確認します。

このタイミングに、修正して欲しい箇所を指定します。
実際に使われる生地で縫製してしまうと、修正が難しくなるので、トワールチェックはとても重要です。

ファッションデザイナーの多くは、このトワールチェックで、袖の長さを3ミリ短くすることや、ウエストの太さを5ミリ細くすることなど、ミリ単位の修正を行います。

このような細かい修正をされて、出来上がったアイテムこそ、とても美しいシルエットや、デザインとして仕上がることにあります。

OEMの会社は、デザイナーからのこれほど細かい要望にも応えているので、仕上がりを見るととても精度の高いサンプルが仕上がってきます。

OEMの会社にもよりますが、Tシャツなどであれば、サンプル製作だけでパターン作成も含めて2〜3万円ほど。

クオリティが高く、全てを任せることができるのであれば、決して高い値段ではないと思います。

パターンの知識がなくても気軽にサンプルが作れるので、視野を広げて、シャツやパンツなどもまとめて依頼することもできます。
ファッションブランドとしてのアイテム数も増えるので、活用できるサービスです。

量産時にも対応してもらえる

OEMの会社のほとんどが、サンプル以外にも量産に対応しています。

そのため、サンプルを制作した際に、量産をする相談も可能です。

OEMの会社の中には、国内の工場での生産が得意なところや、中国生産をたくさん請け負っており、低コストで生産してくれるところもあります。

量産に関してもOEMの会社に依頼するのであれば、生産体系の特徴も予めチェックしておきましょう。

また、サンプルを依頼する際に、量産にかかる費用の見積もりを聞いておきましょう。
枚数によって1枚あたりの単価は変わってきますが、ある程度の基準が分かります。

この単価を元に、商品の値段を決めることになるので、重要な情報と言えます。

仮に自分で縫製工場などを探すことや、依頼する際には、継続的な依頼や、他の作業との兼ね合いもあり、引き受けてもらえないことや、縫製費用が割高に設定されてしますことがあります。

サンプルをOEMの会社にお願いした場合、そのまま量産をする場合も同じOEMの会社に任せれば、スムーズに生産してもらえるのでトラブルや手間を省くことができます。

特に、生地を扱う商社と提携しているOEMの会社であれば、選べる生地は限定されることがありますが、原価を抑えて生産をすることができるので、OEMの会社選びもしっかりと吟味しましょう。

任せることで、他に事に集中できる

OEMの会社に任せることのメリットは、高いクオリティで出来上がるだけでなく、余計な手間を省くことも魅力です。
ファッションブランドを始めると、予想以上にたくさんの業務や雑務が溜まっていきます。
それらに集中するためにも、生産やサンプル作りを全て任せてみることもオススメです。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
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英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。