【第24回】ファッションブランドの値段のつけ方と原価との関係|トピックスファロー

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2015年10月5日
【第24回】ファッションブランドの値段のつけ方と原価との関係

ファッションブランドが値段を付ける際はどのように行っているのでしょうか。 コストや、セレクトショップへの卸売り価格などを踏まえて考えてみましょう。

ファッションライター
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コストと値段の付け方を理解しよう

ファッションブランドで重要なのが値段です。
買い物へ行った際に、自分が買うことができそうな価格帯のショップへ入ることや、気になったデザインのものは値段をチェックするなど、購入する際の条件として最も重要視する部分です。

そのため自分のファッションブランドを始める際にも、アイテムごとの値段を決めることは、とても重要な仕事です。

では、ファッションブランドが値段を付ける際はどのように行っているのでしょうか。

コストや、セレクトショップへの卸売り価格などを踏まえて考えてみましょう。
Beautiful blonde haired woman in bridal dress

コストから値段をつけよう

ファッションブランドに限らず、値段を付ける際にはコストの値段を元にすることが一般的です。

そのため、生産にかかるコストを正確に知る必要があります。

コストの出し方は、OEMでの生産であれば、依頼側に相談することで決まりますが、生地の手配や縫製工場とのやりとりを直接行うのであれば、それぞれの値段を計算してコストを割り出す必要があります。

生地であれば、1着作る際に必要な長さを求めて値段を計算する必要があります。
縫製工場では、少ない生産枚数を想定して1着あたりの縫製にかかる費用を割り出しましょう。

また、サンプルを作る際にかかった費用もコストとして含むことを忘れずに。

慣れないうちは、計算も余裕を持って高めに設定しておくことをオススメします。

コストを低く見積もりすぎて、生産をしてもコストが高くなってしまえば、最悪の場合、赤字になってします可能性もあります。

バイヤーへの卸値も頭に入れよう

コストと共に、値段の設定で重要なことは、バイヤーが発注する際の値段です。

バイヤーから発注されたアイテムに関しては、定価である上代から数十%の値段で取引をすることが一般的なスタイルです。

高い割合であれば、60%ほどが一般的です。
これは、定価1万円のアイテムを6000円で納品することになります。

それ以外にも、新しく始めたブランドであることや、大量に発注を受けた時など、ディスカウントを求められることもあります。
そう言った場合には、45〜55%の掛け率で取引をするケースもあります。

百貨店などであれば、さらに低い条件で取引を依頼されることがあるので、値段を決める際には、自分がどれくらいの掛け率までなら対応可能かを決めておく必要があります。

このようなバイヤーとの様々な取引条件を踏まえると定価は、コストが20%以下になるような割合で設定するブランドが多いです。

定価1万円のアイテムであれば、2000円がコストとなります。

この設定の内訳を詳しくみると、定価1万円でバイヤーへの掛け率を60%とした場合、

コストが2000円。
ブランド側の利益が4000円。
ショップの利益が4000円。

となります。

もちろん、海外ブランドやショップによって条件や決め方は違いますが、一般的には上記のような割合だと考えられます。

注意!ターゲットに合わせて値段設定しよう

一般的な値段設定がわかったところで、早速値段を付けていきたいところですが、ファッションブランドのターゲットやイメージに合った値段設定にすることも大切です。

コストがすごくかかったこだわりのアイテムであれば、定価も高くなりますが、ターゲットとなる年齢層が若ければ、若い方には手が出せないブランドとなってしまいます。

また、コストがすごく安く生産できるアイテムでも、そのまま安い値段設定であれば、たくさんの数を販売しなければ、ブランド側もショップ側も利益を確保することが難しくなります。

重要なことは、商品を客観的に見て、適正価格を見極めることが大切です。

そこで参考にすることが、セレクトショップの取り扱っているアイテムです。
自身のブランドを取り扱って欲しいセレクトショップへリサーチをしてみましょう。
同じようなアイテムがどのくらいの値段で売られているかをチェックすることで、ある程度の基準がわかるはずです。

また、ファッションブランドとしての価格帯もある程度ルールを決めておきましょう。

Tシャツであれば、5000円前後。シャツなら15000円前後。パンツなら20000円前後など、アイテムごとの価格帯を決めておけば、バイヤーも取り扱いやすく、実際に購入するお客さんも、継続的にブランドをチェックしてくれます。

他の商品と大きく違うことは、ファッションブランドのアイテムは安ければいい訳ではありません。

セレクトショップにとっては、同じ接客でも単価が高いアイテムを売る方が、より売上や利益を上げることができます。

そのため、高い値段のブランドアイテムを探しているバイヤーもいるので、思い切って高い値段で挑戦してみる価値もあります。

その場合は、値段が高い理由やクオリティ、ブランドイメージなどが必要です。
しっかりと、自身のブランドの強みや特徴をアピールできるように戦略を立てましょう。

値段でブランドのスタイルを変える

高い値段のブランドであれば、1点1点を丁寧に扱い付加価値を付けていくことが大切ですが、比較的手軽に手の届く値段設定であれば、とにかくたくさんの量を売ることに専念しなければなりません。

値段の決め方で、ブランドの方向性が決まるので、慎重に決めるようにしましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
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英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。