【第36回】ファッションブランドエージェントのメリット・デメリットは?|トピックスファロー

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2015年10月7日
【第36回】ファッションブランドエージェントのメリット・デメリットは?

エージェントにセールスを任せることでのメリットやデメリットとは一体どのようなことが考えられるでしょうか。

ファッションライター
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エージェントのメリット・デメリットは?

セールスをプロに任せるファッションブランドのエージェント会社をご紹介しましたが、エージェントにセールスを任せることでのメリットやデメリットとは一体どのようなことが考えられるでしょうか。
自分でセールスを行わない分、ぜひ契約をしたいエージェント会社ですが、問題点も含めてチェックしてみましょう。
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メリット

セールスを任せることで、よりデザインに集中できる。

エージェント会社にまかせることで、ブランドにとって重要なセールスを全て任せることができます。
そのため、展示会に必要なサンプルが出来上がれば、受注分の生産と、次回シーズンのサンプルに集中することができます。
特に次回シーズンのデザインは、しっかりと時間を確保して取り組みたい作業です。
そのため、最も時間がかかり、エネルギーがいるセールスを任せることは、ブランドにとってデザインの質をキープする為にも重要です。

バイヤーなどへの人脈がある。

エージェント会社は、複数のブランドを抱えて、展示会を行っています。
そのため、すでに既存の取引先となっているセレクトショップやバイヤーがいます。
新しいブランドであれば展示会に来てもらえないような、有名ショップのバイヤーも展示会に来てもらうことが可能です。
さらに、エージェント会社がオススメするブランドであれば、新しく始めてブランドであっても信用度も高くなり、受注数が増える場合もあります。
さらに、PRに関しても、スタイリストが頻繁に足を運ぶショールームであれば、注目してもらえる機会も増えることになります。
自分で展示会を行うだけでは広がらなかった知名度が、一気に認知されるキッカケとなります。

ついで買いをしてもらえることも

エージェント会社の展示会は、複数のブランドをまとめて行う場合もあります。
展示会場では、他のブランドを目当てに展示会に来たバイヤーにも、自分のブランドを見てもらえるチャンスがたくさんあります。
自分で展示会を行うだけでは増えなかった受注も、ついで買いのように簡単に受注をもらえることもあります。
複数ブランドで展示会をすることで、他のブランドとの組合せたコーディネートも提案できるので、始めたばかりのサンプル数が少ないブランドでも、他のブランドと混ぜて受注を得ることが可能です。

デメリット

結果はエージェント次第

セールスの関しては、全てエージェントに任せることになるので、受注数が多くても、少なくても、結果はエージェント次第です。
たくさんの受注があればいいのですが、少なかった場合、セールスが悪かったのか、デザイン自体が悪かったのか、原因を見つけることは難しくなります。
バイヤーはそれぞれ買い付けに使う予算を予め決めています。
展示会で他のブランドのアイテムで予算を使っていると、自身のブランドを気に入ってもらえても、受注が付かない場合もあります。
また、エージェントが扱うブランドのテイストが違うと、たくさんのバイヤーがサンプルを見てくれていても、受注に繋がらないことが多いです。
その他にも、展示会場の他のブランドとのディスプレイの位置関係が原因であることもあります。
このように、自分で展示会を行いセールスをする場合であれば、結果が悪い時の原因は見つけやすいですが、エージェントにセールスを任せると、結果が悪い時の本当の原因が見つかりにくいことが多いです。

バイヤーの反応が伝わりにくい

デザイナーにとって、サンプルを見てもらった際のバイヤーの反応は次のデザインやブランドの方向性を決める判断材料になります。
ですが、エージェントに任せて展示会を行うことで、バイヤーからの感想やサンプルを見た反応を目にすることが難しくなります。
もちろん、エージェントから展示会全体のレポートをまとめてもらうことは可能ですが、バイヤーからの実際の反応と比べると、臨場感のないものになってしまいます。
そのため、次回のデザインのに反映させにくくなる他、ブランドのこれからを考える際に、方向性を決めにくくなることもあります。

数を売る必要がある

セールスをエージェント会社に任せることで、受注を受けた金額の数十パーセントがエージェント側に利益となります。
そのため、自分でセールスを行った場合よりも、売上が少なくなります。
生産をする場合のコストや、次回のサンプルを作る際の費用を考えると、数十パーセントのマージンもブランド側には負担となります。
そのため、ブランドとして続けていくためには、よりたくさんの枚数、金額を受注する必要があります。
数の売るためには、セレクトショップでも反応が良く、スタイリングがしやすいアイテムなどを作ることです。
自分のデザインを全面に出すアイテムだけでなく、意図的にセールスが行いやすいアイテムを作ることになり、ブランドとしての特徴が弱くなる恐れもあります。

自分でコツコツ頑張る方法とエージェントで飛躍する方法

それぞれのメリットとデメリットを紹介しましたが、自分で展示会などを全て行うよりも、エージェントを利用する最大の魅力は、たくさんの方にブランドの認知が広がることです。飛躍的にブランドを大きくするのか、自分でコツコツを行うのかをブランドスタイルや方向性を考えながら、吟味しましょう。
【連載】ファッションブランドの作り方

著者:yu-ki

ファッションライター
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英国にてロンドンコレクションブランドでのデザインアシスタント経験後、東京コレクションブランドのセールススタッフ、海外ブランドのPR会社を経てファッションライターに。
ファッション業界の内部での活動から得た情報やファッション業界だけの常識など、他の業界とは違う特殊な世界をご紹介致します。