水木しげる先生の作品との出会い
夢中になったゲゲゲの鬼太郎のアニメやファミコン
水木しげる先生の作品というと、「ゲゲゲの鬼太郎」が代表作品になります。「ゲゲゲの鬼太郎」は水木先生の漫画家としての初期からの作品でシリーズ化されて、何度もアニメ化されています。
人間世界と妖怪世界が舞台という、子供には少し気味が悪く感じることもあったかもしれませんが、水木先生独特のタッチの可愛らしい妖怪たちが子供にもウケて大人気にもなったと思います。
ゲゲゲの鬼太郎と妖怪たち筆者が小学生だった1980年代後半は、アニメ化第三シリーズ世代で、ゲゲゲの鬼太郎の全盛期と言われる時代でした。
筆者も視聴していて、「ゲッゲッ…」と始まる独特な主題歌は、今でも頭から離れません。ちなみに個人的に好きな妖怪キャラクターは、「ぬりかべ」でした。
子供も向けのたくさんのキャラクターグッズも生まれて、ファミコンの「ゲゲゲの鬼太郎、妖怪大魔鏡」は筆者も同級生たちと必死になってプレーしました。全ステージクリアはできませんでしたが、良い思い出です。
関連動画![]() |
ファミコン、ゲゲゲの鬼太郎、妖怪大魔鏡のyoutube動画発信者 spm moto様(@YouTube) ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境(FC) プレイ動画 |
壮絶な戦争体験が印象的だった昭和史
ゲゲゲの鬼太郎と同じく、筆者が忘れられない水木先生の作品に「昭和史」というマンガ本があります。昭和の末期から平成初頭に書き下ろされた作品です。

昭和が始まる直前に生まれた水木先生自身の半生が、昭和の社会描写と共に描かれています。
当時、全7巻の単行本として発売され、小学5、6年生の男性の担任の先生が個人的に所有していたものを学級文庫に寄贈してくれました。
お昼休みの時にむさぼるように読んだのですが、中でも小学校高学年だった筆者が一番熱心に読んだのは、戦前から太平洋戦争の章です。単行本でいうと、1~5巻に該当します。残り2巻は戦後、復員した水木先生が漫画家として生計を立てていく話になりますが、あまり読んだ記憶はないです。

やはり当時からアメリカと大戦争する前の日本はどういう社会で、どのように戦争に突入していったのか?に興味を持っていたのだと思います。また、18歳で招集令状をもらい出征した水木先生の壮絶な戦争体験も読みいってしまいました。
南方の激戦地に配属されて、水木先生の部隊が全滅。一人ジャングルを彷徨い、奇跡的に本隊に戻ることができます。その時、夜のジャングルでどうしても前に進めない経験をします。仕方がないのでその時は諦めて寝ることにして、朝起きたら、目の前が断崖絶壁だったという不思議な体験をした描写があります。それをきっかけに筆者が一番好きだった妖怪、ぬりかべが生まれたと言われています。

その後はマラリアに罹り、左腕を切断するという体験をしています。
軍隊内の厳しい規律、壮絶な戦場、戦場に散る戦友たち、そんな経験をしても、生きたい、戦争へ行きたくないという人間の本能的な感情を持っていた、水木先生にどこかシンパシーを覚えました。

日本の敗戦を知らされた時、周りが悲しむ中、戦争は終わったのか、これで日本へ帰れると笑いを堪えられない水木先生の描写が印象的でした。
本シリーズでも参考にした劇画ヒットラー
筆者が中学生になると、日本が参戦した太平洋戦争だけでなく、ヨーロッパ戦線やヒトラーに興味を持つようになりました。
そして、中学時代に読んだのが、水木先生の「劇画ヒットラー」です。ヒトラーの生涯を描いた漫画で、本シリーズの執筆でも参考文献にしています。

中学時代から今まで数十回は繰り返し読み込んだと思います。
ヨーロッパの街並み、建築物、風景など、独特な水木ワールドで、ヒトラーをコミカルに描いている世界に惹かれてしまうのです。
特にヒトラーが無名時代から政権を取るまで、若き時代を過ごしたドイツのミュンヘン時代の描写が好きで、下記の記事に引用されている、「ミュンヘンでヒトラーの面影を追う旅1~9」シリーズは、「劇画ヒットラー」をイメージしながらミュンヘンを周り、書き上げました。

参考記事
「政治家ヒトラーとナチスが誕生した街、ミュンヘンを歩く」
「劇画ヒットラー」を執筆する際、水木先生に提供された数十冊のヒトラーなどに関する文献からもわかるように伝記的な部分は詳細に描かれています。また、水木先生自身もヒトラーの生まれ故郷、オーストリア、ドイツに渡り、ヒトラーのゆかりの地を訪問しています。
「劇画ヒットラー」の初版では、オーストリアのレオンディングでヒトラーの両親の墓(現在は墓仕舞い)を訪問する水木先生の写真が収められています。
レオンディングに関する記事
「【第99回】青年時代のヒトラーと親友グビツェクの友情 リンツ編-その3」
オーストリアのウィーンではヒトラーが収容されていた男性独身寮の建物も詳細に描かれています。
劇画ヒットラーの英語版「【番外編】境港の水木しげるロードを散策 ~ロードと記念館~-後編」では、水木先生の故郷、鳥取県の境港を訪れます。
【番外編】境港の水木しげるロードを散策 ~水木しげると筆者~-前編
>【番外編】境港の水木しげるロードを散策 ~ロードと記念館~-後編


