【第59回】北欧戦跡の旅3:ヒトラーに屈しなかったノルウェー初代国王-その1|トピックスファロー

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2018年8月13日
【第59回】北欧戦跡の旅3:ヒトラーに屈しなかったノルウェー初代国王-その1

ノルウェーの国王・ホーコン七世は、戦わずしてヒトラーの軍門に下ったデンマークと違い、戦う道を選択します。ノルウェーは、連合軍側として北欧で唯一、ナチスドイツと戦った国となり、ドイツ軍とイギリス軍もノルウェー本土で激戦を繰り広げました。映画「ヒトラーに屈しなかった国王」では、この時代のノルウェーが描かれています。

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ナチスと戦った北欧で唯一の国、ノルウェー

なぜノルウェーが英独軍の激戦地となったのか

ヒトラーの思惑

ドイツは、戦争継続に必要な鉄鉱石をスウェーデン産に依存していました。
スウェーデンの鉄鉱石の産地は、北部にあるキールナ。それらの鉱石は、不凍港(海面が凍結しない港)であるノルウェー北部のナルヴィクから輸出されていました。(スウェーデン側のボスニア湾にあるルーレオ港は冬は凍結)。

ヒトラーはノルウェーを支配下に置いて、ナルヴィク港を抑えれば、より万全に鉄鉱石を確保して、イギリス、フランスとの戦争へ備えることができると考えました。

ナルヴィクについては、次回の「北欧戦跡の旅4 ヒトラーが初めて敗れた、北極圏のナルヴィクの戦い」編で触れる予定です。

ノルウェー国旗▲ノルウェー国旗

チャーチルの思惑

当時、イギリスの海軍大臣だったチャーチルも、ドイツがノルウェーの鉄鉱石に依存している弱点に気づいており、ノルウェーを確保して、ドイツへの鉄鉱石の輸送ルートを遮断、ドイツの戦争経済を破綻させようと考えます。ノルウェーの沖合に機雷を設置して、ドイツ海軍の進行を妨害しようとします。

しかし、先にノルウェーに姿を現したのはドイツ軍でした。

1949年4月9日、ドイツ軍は、イギリス軍より一足先にナルヴィク、トロントヘイム、ベルゲンなどのノルウェー沿岸の港に殺到して制圧。

キールナの鉄鋼石が発掘される鉱山▲キールナの鉄鋼石が発掘される鉱山

鉄鉱石が輸出されるナルヴィク港▲鉄鉱石が輸出されるナルヴィク港

ヒトラーと戦う道を選んだ、ノルウェーの初代国王・ホーコン七世

あっさり降伏したデンマーク王・クリスチャン十世と違い、ノルウェーの王・ホーコン七世は戦う道を選びます。

※1905年、スウェーデン・ノルウェーの同君連合を解消して、独立国となったノルウェーは、国民が選挙でデンマーク王室からカール王子(後のホーコン七世)を迎えます。ホーコン七世はデンマークの国王、クリスチャン十世の弟になります。

デンマークについては、「北欧戦跡の旅2:数時間でナチスドイツに降伏したデンマーク」編で紹介しています。
ご興味があれば、併せてご覧いただけたらと思います。

ホーコン七世▲ホーコン七世

ノルウェー王・ホーコン七世は皇室、政府と共にドイツ軍が侵攻する直前、首都のオスロを脱出。ノルウェーを北上し続けて、和平交渉を模索しながらも、ドイツ軍に抵抗を続けようとします。

しかし、和平交渉は決裂。1940年6月10日にノルウェーは降伏、国王ホーコン七世は政府と共にイギリスへ亡命します。ロンドンでノルウェーの亡命政府が樹立して、ノルウェー国内のレジスタンス活動の指示や連合軍へ協力姿勢を取ります。

ロンドンからBBC放送を通じて、ノルウェー本国に呼びかけるホーコン七世とチャーチル▲ロンドンからBBC放送を通じて、ノルウェー本国に呼びかけるホーコン七世とチャーチル

一方、ノルウェー国内ではファシズム信者のノルウェー人政治家、クヴィスリングが政権を握り、デンマーク同様、ナチスドイツの傀儡国家となってしまいます。

ヒトラーと接見するノルウェーのクヴィスリング▲ヒトラーと接見するノルウェーのクヴィスリング

この時代のホーコン七世については、2016年にノルウェーで公開され大ヒットされた映画「ヒトラーに屈しなかった国王」で描かれています。2017年から日本の映画館でも公開されました。

オスロの観光ルートにあるノルウェーの戦い

オスロは首都にしては大きくなく観光しやすい街です。
オスロ中央駅から王宮まで、カールヨハン通りが2kmほど伸びていて、その周辺に観光スポットが集中しています。本記事で紹介する場所も全てその周辺にあります。

観光客で溢れるカールヨハン通り▲観光客で溢れるカールヨハン通り

映画「ヒトラーに屈しなかった国王」では、ドイツ軍が迫ってくるオスロでノルウェー北部に逃れるため、王宮からオスロ中央駅へ移動する国王一家のシーンがあります。特別列車を仕立ててオスロ中央駅から最初の避難地ハーマルへ向かったのです。

王宮。映画ではホーコン七世が名残り惜しく去るシーンがある▲王宮。映画ではホーコン七世が名残り惜しく去るシーンがある

オスロ中央駅。映画では列車に乗り込む国王一家に礼をする乗客の姿がある▲オスロ中央駅。映画では列車に乗り込む国王一家に礼をする乗客の姿がある

ハーマル駅に到着したホーコン七世。映画では途中で列車が空襲されそうになるシーンがある▲ハーマル駅に到着したホーコン七世。映画では途中で列車が空襲されそうになるシーンがある

【第59回】北欧戦跡の旅3:ヒトラーに屈しなかったノルウェー初代国王 は、3ページ構成です。
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【第59回】北欧戦跡の旅3:ヒトラーに屈しなかったノルウェー初代国王-その1
>【第59回】北欧戦跡の旅3:ヒトラーに屈しなかったノルウェー初代国王-その2
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【連載ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡

著者:ヒロマル

戦争遺跡ライター
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1979年神奈川県生まれ、神奈川県逗葉高校、代々木ゼミナールで1浪、立教大学経済学部卒業。

大学在学中からヨーロッパ、アジアなどを海外放浪してハマってしまい、そのまま新卒で就職せずフリーターをしながら続ける。その後、会社員生活をしながらも休み、転職の合間を利用して海外放浪を続ける。50ヶ国以上訪問。会社の休暇を利用して年に数回、渡欧して取材。

2012年からライター業を会社員との二足のわらじで開始。
2014年からwebメディア(株)フォークラスのTOPICS FAROで2つのシリーズを連載中。

▼「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/warruins
ヨーロッパ各地を取材し、第二次世界大戦に関する場所を紹介。
軍事用語などは極力省き、中学レベルの社会の知識があれば楽しめる記事にしています。
同シリーズが2017年に書籍化。
「ヒトラー 野望の地図帳」(電波社)から全国書店の世界史コーナーで発売中。

▼「受験に勝つ!世界史の勉強法」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/wh
2018年から主に世界史を中心とした文系の勉強方法について執筆。
大学受験だけでなく、大学生や社会人の大人の教養としての世界史の勉強方法にも触れて、
高校生、大学生、社会人とあらゆる世代を対象としています。

世間の文系離れを阻止して、文系の学問の復権に貢献することが、2つの連載の目的です。

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