ナチスと戦った北欧で唯一の国、ノルウェー
なぜノルウェーが英独軍の激戦地となったのか
ヒトラーの思惑
ドイツは、戦争継続に必要な鉄鉱石をスウェーデン産に依存していました。
スウェーデンの鉄鉱石の産地は、北部にあるキールナ。それらの鉱石は、不凍港(海面が凍結しない港)であるノルウェー北部のナルヴィクから輸出されていました。(スウェーデン側のボスニア湾にあるルーレオ港は冬は凍結)。
ヒトラーはノルウェーを支配下に置いて、ナルヴィク港を抑えれば、より万全に鉄鉱石を確保して、イギリス、フランスとの戦争へ備えることができると考えました。
ナルヴィクについては、次回の「北欧戦跡の旅4 ヒトラーが初めて敗れた、北極圏のナルヴィクの戦い」編で触れる予定です。
チャーチルの思惑
当時、イギリスの海軍大臣だったチャーチルも、ドイツがノルウェーの鉄鉱石に依存している弱点に気づいており、ノルウェーを確保して、ドイツへの鉄鉱石の輸送ルートを遮断、ドイツの戦争経済を破綻させようと考えます。ノルウェーの沖合に機雷を設置して、ドイツ海軍の進行を妨害しようとします。
しかし、先にノルウェーに姿を現したのはドイツ軍でした。
1949年4月9日、ドイツ軍は、イギリス軍より一足先にナルヴィク、トロントヘイム、ベルゲンなどのノルウェー沿岸の港に殺到して制圧。
ヒトラーと戦う道を選んだ、ノルウェーの初代国王・ホーコン七世
あっさり降伏したデンマーク王・クリスチャン十世と違い、ノルウェーの王・ホーコン七世は戦う道を選びます。
※1905年、スウェーデン・ノルウェーの同君連合を解消して、独立国となったノルウェーは、国民が選挙でデンマーク王室からカール王子(後のホーコン七世)を迎えます。ホーコン七世はデンマークの国王、クリスチャン十世の弟になります。
デンマークについては、「北欧戦跡の旅2:数時間でナチスドイツに降伏したデンマーク」編で紹介しています。
ご興味があれば、併せてご覧いただけたらと思います。
ノルウェー王・ホーコン七世は皇室、政府と共にドイツ軍が侵攻する直前、首都のオスロを脱出。ノルウェーを北上し続けて、和平交渉を模索しながらも、ドイツ軍に抵抗を続けようとします。
しかし、和平交渉は決裂。1940年6月10日にノルウェーは降伏、国王ホーコン七世は政府と共にイギリスへ亡命します。ロンドンでノルウェーの亡命政府が樹立して、ノルウェー国内のレジスタンス活動の指示や連合軍へ協力姿勢を取ります。
一方、ノルウェー国内ではファシズム信者のノルウェー人政治家、クヴィスリングが政権を握り、デンマーク同様、ナチスドイツの傀儡国家となってしまいます。
この時代のホーコン七世については、2016年にノルウェーで公開され大ヒットされた映画「ヒトラーに屈しなかった国王」で描かれています。2017年から日本の映画館でも公開されました。
オスロの観光ルートにあるノルウェーの戦い
オスロは首都にしては大きくなく観光しやすい街です。
オスロ中央駅から王宮まで、カールヨハン通りが2kmほど伸びていて、その周辺に観光スポットが集中しています。本記事で紹介する場所も全てその周辺にあります。
映画「ヒトラーに屈しなかった国王」では、ドイツ軍が迫ってくるオスロでノルウェー北部に逃れるため、王宮からオスロ中央駅へ移動する国王一家のシーンがあります。特別列車を仕立ててオスロ中央駅から最初の避難地ハーマルへ向かったのです。
【第59回】北欧戦跡の旅3:ヒトラーに屈しなかったノルウェー初代国王 は、3ページ構成です。
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【第59回】北欧戦跡の旅3:ヒトラーに屈しなかったノルウェー初代国王-その1
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