【1】20代の文系出身バックパッカー
私が執筆している際に一番意識している層です。
それは自分の旅の原点でもあるからです。初めて海外に行ったのが20歳を超えたばかりの大学生の時、現代史に興味を持っていた文系の学生でした。
当然、戦争遺跡散策は、歴史という文系の分野になります。10代の頃、歴史に興味があり、大学受験で世界史や日本史などの歴史科目を選択した人達も多いと思います。選択した受験科目が地理や政治経済だったとしても、ヨーロッパの地理や歴史とも密接に関っている科目です。しかし、大学受験の時は受験で点数を取るため、膨大な知識を暗記することに集中してしまい、歴史を楽しむ余裕がなかったと思います。
受験が終わったら世界史の教科書で知識として学んだこと、教科書に載っていた海外の写真の風景を、自分の目で見る感動を味わってほしいと思います。私も執筆の際、教科書や歴史マンガシリーズに掲載されているかどうかも意識しています。
【2】軍事マニア、戦争マニア
「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」で一番反応がある層です。
世界大戦への知識、興味が非常に高く、世代的には中高年の方々が多いと感じています。記事をじっくり読んでいただき、間違いの指摘や、感想を述べていただいたり、訪れてほしい場所のリクエストをいただいたりします。この層の方々がある意味、本シリーズの編集者でもあり、私の取材、執筆能力を鍛えてくれているのです。今後とも、ぜひご感想、ご指摘などをしていただければ幸いです。
【3】シニア旅行者
ヨーロッパを周遊している日本人の旅行者で、一番多いのがシニア旅行者です。
ヨーロッパの一般的な観光地は当然、東欧のマニアックな都市にもいます。団体ツアーで参加している方々が多いですが、夫婦などで旅行しているケースも多いです。
特徴として、若かりし頃は現代ほど海外旅行が一般的ではなかった世代です。10、20代の時、映画やドラマで海外の文化に憧れた世代でもあります。1960年代~70年代にかけて公開された映画には、第2次世界大戦を扱ったものもたくさんあります。旅行中、シニアの旅行者の方々と会って話す機会も何度かありました。
「史上最大の作戦の舞台、ノルマンディ海岸を一度この目で見てみたいね。」
「モロッコに行く時に渡ったジブラルタル海峡が、映画、Uボートに出てきた場所だから感動しましたよ。」
第2次世界大戦への興味と知識が高いのもこの世代なのです。彼らの話を聞くと、本シリーズが彼らの旅行の一つのヒントになれば嬉しいと思ったりしました。
【4】女性旅行者
意外にも戦争遺跡を訪れている人が多いのは、女性旅行者なのです。
「戦争に興味ないけどヨーロッパに来たからには、アウシュビッツは一度行ってみたい。」
「ドイツを旅行しているから、1つくらいはナチスの施設跡をみておきたい。」
女性旅行者からそんな声もよく聞かれました。
日本国内の戦争遺跡には行かないけど、「海外旅行」に行ったら、歴史や戦争にも少し興味を持ち始める人が多いと感じます。異文化に接した時に芽生える独特の人間の好奇心だと思います。戦争というと若い女性は敬遠してしまうイメージかもしれませんが、日本から遠いヨーロッパという距離感がそうさせているのかもしれません。
【5】戦争に興味がない旅行者
ヨーロッパを訪れる日本人の旅行者はたくさんいます。
若い学生バックパッカー、卒業旅行の女子大生達、シニアの旅行者、休暇を取ってリフレッシュしにきたサラリーマン・・・
彼らの興味の対象は人それぞれだと思います。しかし、戦争に興味なくても、ぜひ一ヶ所くらいは、20世紀の世界を動かし、現代の国際関係の礎となった世界大戦の痕跡を巡ってみてはいかがでしょうか。本シリーズで紹介しているように、有名観光地のすぐそばにその痕跡が残っていたりするのです。