書籍や映画でタイトルになることが多いヒトラー
本屋でドイツ史、第二次世界大戦のコーナーにいけば、「ヒトラー」というタイトル名の書籍を必ず目にすると思います。また、「ヒトラー」という言葉は、書籍だけでなく現代でも映画のタイトルになることも多いです。
筆者も多くのヒトラー関連の書籍を著書「ヒトラー 野望の地図帳」やヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズの参考文献として読んできました。その中で筆者が独断と偏見で選んだものを紹介します。
ヒトラーを知りたいなら、まずはマンガ「劇画ヒットラー」
ヒトラーについて知りたい人の入門書として、お勧めしたいのが「劇画ヒットラー」です。
著者はゲゲゲの鬼太郎の作者としても有名な水木しげる先生。水木先生自身が太平洋戦争に従軍して、その体験記をマンガにするなど、戦記物の作品もたくさんあります。その中で、ヒトラーに絞ったものが「劇画 ヒットラー」です。
水木先生の独特なタッチで、ヒトラーの青年期から総統になり最期までを描いています。
特にヒトラーがナチスに入党して政権を取る、第二次世界大戦までの1920年代から1930年代のヒトラーに詳しく、ヒトラーがドイツで飛躍していく様子がわかります。
ヒトラーの流れを掴むためのマンガとして位置づけることできます。
筆者による動画での紹介
「【第三帝国 書籍紹介③】【第三帝国 書籍紹介②】「劇画ヒットラー」」
ヒトラーの基礎知識をつけるなら、新書
劇画「ヒットラー」でヒトラーの概要をなんとなくでも掴んだら、次は250ページ前後の新書の本で基礎知識をつけることをお勧めします。ヒトラーに関する新書は多数ありますが、「ヒトラーの正体」が「劇画ヒットラー」からの流れとして相性が良いと思います。
その理由は、「ヒトラーの正体」もヒトラーが政権を取る過程の話が詳しく、当時のドイツ人がヒトラー、ナチスに傾倒していったかがわかりやすく説明されているからです。
元東京都知事でもある著者の舛添要一氏は、メディアにもよく登場するので、ご存じの方も多いかと思います。元々は政治学者で学生時代はヒトラーを研究するために、ヨーロッパ各国に留学していた経験もあり堪能な英語、ドイツ語、フランス語が堪能です。
その語学力も生かして、国内外のヒトラーに関する多数の書籍や文献に触れている舛添氏の初めてのヒトラーに関する書籍です。
歴史小説家のヒトラーシリーズ
2冊を読み終えたら、今度はヒトラーを中心に戦間期、第二次世界大戦をがっつり学べるシリーズを紹介します。それは下記の歴史小説家が書いたシリーズです。時間をかけてじっくり読みたいです。
- アドルフ・ヒトラー(全4巻)、ジョン・トーランド
- 第二次世界大戦 ヒトラーの戦い(全10巻)、児島襄
アドルフ・ヒトラー(全4巻)、ジョン・トーランド
ジョン・トーランドの「アドルフ・ヒトラー」は、ヒトラーに焦点を当てて、ヒトラーの生い立ちから最期までが描かれています。第二次世界大戦の戦闘の詳細よりも歴史的な背景やヒトラーの個人的なエピソードが中心になります。。
筆者も何度か再読しているシリーズです。
筆者による動画での紹介
「【第三帝国 書籍紹介③】「アドルフ・ヒトラー」ジョン・トーランド著(@YouTube より)」
第二次世界大戦 ヒトラーの戦い(全10巻)、児島襄
児島襄の「第二次世界大戦 ヒトラーの戦い」は、ヒトラーに焦点を当てつつも、第二次世界大戦の戦闘経緯が中心の全部で約5000ページの大長編になります。
筆者も戦跡の取材に行く時や取材後に、戦闘をイメージするために、該当の章のみを熟読していました。この記事を執筆中の現在(2020年5月)、1巻から10巻までを通読中です。
上記の2つのシリーズはどちらも全巻を読破するのには、時間がかかりますが、その分野の歴史を本気で勉強するなら、自分を痛めつけるつもりで知識が血と肉になるにように読んでいきたいです。
筆者による動画での紹介
「【第三帝国 書籍紹介④】第二次世界大戦 ヒトラーの戦い(@YouTube より)」
ナチス時代にドイツにいた日本人達の手記
筆者の趣向ですが、ナチス時代のドイツや第二次世界大戦中にヨーロッパに滞在していた日本人の話に子供のころから興味があります。実際にヒトラーを見たことがあったり、接したことがある日本人の体験談は貴重です。一時期、その体験談の書籍を可能な限り集めて読んでいました。その中で、留学生、ジャーナリスト、外交官の3冊の書籍を紹介します。
ドイツにヒトラーがいたとき、篠原正瑛
第二次世界大戦中、哲学を勉強するために、ドイツに留学していた大学生の手記です。筆者が中学生の時に図書館で借りて読んだ本です。まだ知識が乏しい中学生時代の筆者でも楽しめた本です。
篠原氏は、太平洋戦争開戦時の首相、東条英機が留学していた家庭に下宿したり、枢軸国が勝った場合は、日本、ドイツの学校で英語を廃止して日本語、ドイツ語を夫々の国で必修にするためのモデル校で日本語講師をしていたなど、貴重なエピソードが盛りだくさんです。
ベルリン特電 江尻進
同盟通信社の特派員としてベルリンに派遣され、第二次世界大戦中、イギリスを除くドイツ軍が攻めていったヨーロッパ中の国を訪問して取材しています。
第二次世界大戦開戦直前にポーランドを訪問して、車窓から見えるポーランドの発展していない街並みをみて、ドイツ軍が攻めてきた場合、どれだけ持ちこたえるのか憂いていたり、ドイツ軍が西部戦線に攻勢をかけた時は、従軍して、ダンケルクでは連合軍が残していった日記などを入手してイギリスでも食糧不足が深刻なことなどをジャーナリストの観点で現場を考察しています。
一青年外交官の太平洋戦争 日米開戦のワシントンからベルリン陥落、藤山楢一
若き外交官のアメリカ、ドイツでの体験記です。太平洋戦争勃発直前にアメリカのワシントンの日本大使館に勤務して、真珠湾攻撃時の日本大使館の様子が描かれています。開戦後は交換船で日本に帰国するはずが、ドイツのベルリン大使館勤務となりドイツへ向かい、終戦までドイツに滞在します。
同シリーズが「ヒトラー 野望の地図帳」として書籍化
同シリーズが書籍化され、各書店の歴史の棚の世界史やドイツ史のコーナーに置かれています。web記事とは違う語り口で執筆していて、読者の方々からは、時代背景が簡潔でわかりやすい、学者とは違うテイストが新鮮、という感想をいただいております。
歴史好きはもちろん、ちょっとマニアックなヨーロッパ旅行をしたい方々の旅のお供になる本です。
著者名:サカイ ヒロマル
出版社:電波社
価格 :1,512円(税込)
筆者が動画でも紹介しています。
「【著書紹介】ヒトラー野望の地図帳 サカイヒロマル著(電波社) 〜ヒトラーや第二次世界大戦の痕跡を現地取材〜(@YouTube より)」