とりあえず訪問したい候補地をいくつか挙げる
私は普段、サラリーマンとして仕事をしています。そのためヨーロッパに行く機会は、年末年始、5月のGW、お盆前後の夏休みしかありません。ですから1度の渡欧で、長くても中5日、短くて中3日、2日半というのがほとんどです。学生やフリーターのバックパッカーならともかく、社会人の旅行はどうしても時間に制限があります。いかに効率的に戦争遺跡を周るかがポイントとなってきます。
まず、最初はなんとく気になる戦争遺跡をいくつかピックアップしておきます。そして、日程、地理などを考慮して、訪問する場所を決めます。
参考文献を乱読する
そのテーマと戦史全体に絞った本を選ぶ
訪問する戦争遺跡のある都市が確定したら、そのテーマに関する本を読みます。
私の場合は、行きのフライトの中で読む分を含めて、一つのテーマに2、3冊は読むようにしています。戦争に関する本は、軍事知識などがないと理解することが難しいものが多いですが、大まかな流れが流れを掴むようにしています。そして、出てくる戦場になった都市名や戦場になった都市の地図などはチェックしておきます。その戦いに絞った本と、その戦史全体の流れがわかる本を読むのが理想的です。
例えば、ヨーロッパ戦線の場合、おおまかに西部戦線と東部戦線に別れます。
西部戦線のフランスのダンケルクの撤退作戦なら、西部戦線全体に関する本を読むとダンケルクの撤退作戦の戦史の中の位置づけがわかります。ソ連のスターリングラードの戦いでしたら、東部戦線全体に関する本を読むようにします。
この乱読は非常に大切です。その取材先の知識を身につけることが最大の目的ですが、戦史全体からの位置づけを意識しておくと新たな知識が付くので、次の渡航先を選ぶヒントにもなります。
参考文献はアマゾンで購入
参考文献は本屋、図書館で探すのもいいですが、アマゾンで購入しています。
第二次世界大戦に関する本は無尽蔵に出版されていますので、検索ワードを入れて、レビューを参考にしつつ購入することをオススメします。また、アマゾンで売り出されている本は古本がベースなので、送料込みでも数百円で買えることが多いです。気になる本を数冊選んで、自分と相性が良い本を精読すると良いでしょう。
基点となる都市への航空券を予約する
候補地が決まったら、早めに航空券を予約します。昔は旅行代理店で予約していましたが、今は、オンラインで航空券のみならず、安宿を含むホテルも予約できます。 ヨーロッパの場合、その国の首都やハブ空港がある都市を基点とすると行動範囲が広がり ます。
例えば、第二次世界大戦の火ぶたが切られた街、ポーランドのグダンスクを歩く編と独ソ戦が始まった日から激戦地になった、ベラルーシのブレスト要塞編は、ポーランドの首都、ワルシャワを基点として、訪問しています。
東欧路線に強いアエロフロートロシア航空のモスクワ経由で、ワルシャワin outにしました。そして、ワルシャワはポーランドの中央部に位置します。ポーランド北部のグダンスクやポーランド東部のベラルーシとの国境の街ブレストには、共に列車で3時間ほどの距離にあります。私は最初の1泊目はワルシャワに宿泊してブレストに1泊、ブレストからワルシャワに一旦戻り1泊、そしてグダンスクへ移動、グダンスクで2泊して、再びワルシャワに戻り帰国しています。
その他、ワルシャワにも戦争遺跡はありますし、ワルシャワを基点として、クラクフのアウシュビッツ強制収容所に、ルブリンのマイダネク強制収容所にも行くことができます。
ガイドブックを丹念に読んでみる
私は学生時代からガイドブックは定番の「地球の歩き方」を愛用しています。地球の歩き方の各国編をくまなくみてみると、世界大戦に関する史跡や博物館の紹介も意外と多いのに気づきます。ドイツ編などのベルリンのページでは、「ナチス時代を忘れない為のモニュメントを紹介するコーナー」を昔から1ページ設けています。
強制収容所はアウシュビッツが有名ですが、ヨーロッパ各国では、博物館として公開されているナチスの強制収容所跡がたくさんあります。地球の歩き方をよく読むと強制収容所跡が紹介されていたりします。自分の訪問する都市のページは、行きの飛行機の中、ホテルの中でくまなく目を通しておくとよいです。私も旅行中に地球の歩き方を読んでいて、発見した戦跡もいくつかあります。
旅行者のサイト、ブログを検索
ヨーロッパの戦跡をまとめたサイト、ブログなどが中々ないのが現状です。旅行者が旅行中にたまたま見つけた戦跡を訪れたなどの情報があったりします。また、旅行者ではないのですが、その国に在住している日本人の方のサイトやブログなどで、現地の戦跡の情報を発信している場合があります。グーグルやヤフーの検索で、訪問したい都市、戦いの名称を入れてみると、思わぬ情報が見つかる場合があります。
「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡シリーズ」がヨーロッパの世界大戦の戦跡に関する、国内最大の情報発信サイトとなれればと思います。読者の皆様からの情報、ご指摘などもお待ちしております。
記事をスクリーンショットして使ってほしい
本シリーズの記事の特徴として、地図を掲載してない代わりに、目的地までの行き方を 旅行者目線で紹介しています。
「駅を出たら、目の前にある右へ進み最初の角を右へ曲がる・・・」などと、一見読みにくいですが、通りの名称も併せて記載しています。それはあくまでも現地を訪れた人が辿りつき易い様にするためです。スマートフォンでスクリーンショットをしておけば、それを見ながら歩きやすいからです。私も現地では、他の方のサイトやブログをスクリーンショットして、スマートフォンに入れて歩いています。目的地である戦跡などの住所も極力記載していますので、グーグルマップと併用していただけると便利だと思います。
現地の博物館で情報収集
現地の博物館では、その街で戦いが起った戦跡の場所を紹介したガイドマップなどが安価で売られていることがあります。
例えば、アムステルダムの街中に残る第二次世界大戦中の面影を訪れてみよう編では、アンネフランク博物館からレジスタンス博物館までの道のりにある世界大戦とゆかりがある建物などを紹介しています。これはレジスタンス博物館で、数ユーロで販売されていたアムステルダムの戦跡を紹介した小さい冊子を参考にしました。
博物館の展示物にも戦跡の場所のヒントになるものが多いです。まず戦跡のある街に着いたら、その街の博物館に入って情報収集してから散策に出かけると良いと思います。
現地の博物館での情報収集は、現地に行ったからこそ入手できる貴重な情報です。 インターネットで調べているだけではわからないことがそこにあります。それも、現地まで足を運ぶことによって得られる感動の一つだと思います。
何気ない街角も知識を付けるだけで立派な観光地になる
1945年、独ソのベルリン最終決戦の跡地を散策編では、ベルリンのど真ん中にある2008年まで使用されていたテンペルホーフ空港跡地を紹介しました。
テンペルホーフ空港には、ナチス時代、東西冷戦時代、現代と3つの負の歴史があります。
何も知らなければ、市民の憩いの場となっている空港跡の公園ですが、歴史をちょっと知るだけで、その場所、建物も立派な観光地となるのです。
一つの街、一つの場所、建物は一度見ることができば満足するかもしれません。それでもその後、知識を付けて、再び訪れれば新たな視点で見ることができます。
一つの街を何度も楽しめる発想を身につければ、飽きることなく永遠に旅行を楽しむこともできます。私はナチスの心臓部だったベルリンには5回訪問していますが、行くたび新たな発見をします。今後、何度でもベルリンを訪れたいと思っています。